ホークス一筋37年 元名物広報が見た「鷹の真実」
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《王貞治の巻》打撃投手がイップスになりそうなほどの重圧を放ったケージ裏からの鋭い眼光
「世界の王」こと王貞治球団会長兼特別チームアドバイザー(84)の性格を一言で言うと、「球界一の負けず嫌い」です。 野球が大好きで、いまでも野球の話になると目がギラギラする。監督時代、外野手が2…
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《松永浩美の巻》僕が専属打撃投手をしていた頃にブチギレさせてしまった「初球ボール」
あれは忘れもしない北九州市民球場でのことです。当時、僕は松永浩美さん(64)の専属打撃投手を務めており、試合前のフリー打撃に登板しました。 フリー打撃で大事なのは、選手が本腰を入れて打ち出す…
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《山内孝徳の巻》“ヒゲのエース”が直立不動の僕に語ったコントロールの極意
僕がプロ入りした1987年、南海には2人の「山内」がいました。 ひとりは速球派の山内和宏さん。そして「ヒゲのエース」こと、制球力に優れた山内孝徳さん(68)です。僕の新人時代、二軍の中百舌鳥…
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《佐々木誠の巻》細かい気遣いと面倒見の良さが随一の兄貴分…首位打者争いでは逆に僕が気負って円形脱毛症になった
走攻守の三拍子を兼ね備え、主にホークスと西武で活躍した佐々木誠さん(59)。ホークス時代は門田博光さんを慕い、打撃フォームを真似ていたほどです。 「俺はバッティングの調子が悪くなると、グリップ…
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《門田博光の巻#2》深夜2時に“麻雀部屋”まで牛丼を届けに行った僕に3万円をポンと渡した太っ腹
門田博光さん(享年74)ほど、打撃の追求に熱心だった人を僕は知りません。 ティー打撃の練習でも強いこだわりがありました。地面に白線を引き、「このラインの軌道で投げてくれ」と投げ手に注文。常に…
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《門田博光の巻》「打撃の求道者」は練習方法もケタ外れだった…僕が地獄を見た“10分”の要求
「不惑の大砲」と呼ばれ、南海を象徴する選手だった門田博光さん(享年74)。あれは僕がまだ現役時代の春季キャンプでの話です。 現役投手が打撃投手を務める練習の最中、門田さんにこう言われました。 …
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《デニス・サファテの巻》どんな人物か?「神様」です。ナインから「監督待望論」が何度も上がるキング・オブ・クローザー
デニス・サファテ(43)はどんな人物か? こう聞かれたら僕は「神様です」と答えます。 ソフトバンク入団1年目の2014年からクローザーとして活躍し、15年からは3年連続最多セーブを受賞。17…
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《デスパイネ&グラシアルの巻》必ず期待に応える「親方」、何とかしてくれる「職人」
2017年からのソフトバンクの日本シリーズ4連覇に貢献した助っ人打者、それがアルフレド・デスパイネ(38)とジュリスベル・グラシアル(39)です。 デスパイネは何というか、日本人が応援したく…
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《秋山幸二の巻》選手、二軍監督としてチームを2度強くした。無口でも面倒見良く庶民派な一面も
秋山幸二さん(62)はホークスを2度、強くしたと言っても過言ではありません。 1度目は選手として。西武からトレードでダイエーに移籍してきた1994年以降です。この連載でも書きましたが、常勝軍…
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《森脇浩司の巻》二軍監督時代は朝9時から19時まで猛練習、休日も事前予告なしで選手は激ヤセ
現役時代は近鉄、広島、ホークスを経験し、指導者としてもさまざまな球団を渡り歩いた森脇浩司さん(64)。僕にとってはスタッフとしての心構えを1から10まで叩き込んでもらった大恩人です。 選手に…
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《柴原洋の巻》お手本のようにレギュラー定着も「四天王扱い」に不満を抱いていたワケ
1996年のドラフトで1位・井口忠仁(現・資仁)、2位・松中信彦に続く3位で指名されたのが柴原洋(50)です。 上位指名が打者3人ということもあり、打撃投手の間では「誰が一番、成績を残す?」…
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《新垣渚の巻》資質だけならナンバーワンも「うちなー時間」が玉にキズ
2000年代のホークスは、好投手揃いでした。斉藤和巳という大エースがおり、杉内俊哉、和田毅の左腕二枚看板もいる。しかし、僕が「素質は彼ら以上」と思っていたのが、新垣渚(44)です。 MAX1…
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《摂津正の巻》監督とコーチの意見が対立した先発転向…突然水を向けられて、たまったものじゃなかった
先発からリリーフに転向して成功する投手はそれなりにいますが、逆はなかなか難しい。それを成し遂げたのが摂津正(42)です。 1年目の2009年から70、71試合に登板し、2年連続で最優秀中継ぎ…
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《馬原孝浩の巻》守護神抜擢は二軍コーチのファインプレー…勝利の方程式「SBM」ではリーダー格
人間何が起こるかわからないものです。通算182セーブを挙げた馬原孝浩(42)がそうでした。 2003年のドラフト自由枠で九州共立大から入団。最初は先発として期待されていましたが、なかなか結果…
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《松田宣浩の巻》死球禍に思わず弱音、まったく熱くなかった若手時代「このままだと年俸5000万円以上取れない…」
2015年のチームスローガンだった「熱男」を自らの代名詞にしたのが、松田宣浩(41)です。 ホームランを打つと、ベンチ前で右拳を突き出し、「あつおー!」と絶叫。自軍の攻撃中はベンチから声をガ…
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《千賀滉大の巻》育成から這い上がった右腕が持つ強烈な“自己”…何度も聞いた「それは違います」
今でこそメジャーを舞台としているメッツの千賀滉大(31)ですが、入団当初はまったく無名の高校生でした。 愛知県の蒲郡高校から2010年育成ドラフト4位で入団。本人も最初は「とんでもないところ…
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《内川聖一の巻》球界屈指の好打者が尻込みしたブーイングの中でのヒーローインタビュー
当時の日本球界を代表する安打製造機、それが内川聖一(42)です。 打撃技術は言うまでもなく超一流。イベントで小学生から「どうしたら、そんなにヒットを打てるんですか」と聞かれ、「簡単ですよ。誰…
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《川崎宗則の巻》代名詞になった「チェスト!」誕生秘話…初披露で客はドカンと盛り上がり選手たちも大笑い
「チェスト!」の掛け声が合言葉のムネリンこと遊撃手の川崎宗則(43)。ファンの間では有名な話ですが、入団当時は守備がひどく、本人も実家に電話して「もう無理、この世界」と愚痴っていたくらい、周囲との差を…
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《井口資仁の巻》ルーキーイヤーで雁の巣球場の最多観客動員記録を作ったスター性
青学大4年時の1996年はアトランタ五輪の日本代表に選ばれ、3年時の年間12本塁打、大学通算24本塁打はいまだ東都大学記録として名を残す井口資仁(49=前ロッテ監督)。 96年のドラフト直後…
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《松中信彦の巻》死球覚悟でないと抑えられなかった平成の三冠王
いつの試合かは覚えていませんが、おそらく西武戦だったと思います。松中信彦(50)が打席に立った時、信じられないものを見たことがあります。それは捕手の位置。 モニターに映るセンターからの映像を…