宮城ホルモン店（大阪・平尾）「じゃりン子チエ」そのまんまの世界へようこそ

公開日：2023/02/01 06:00　更新日：2023/02/01 06:00

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「こら～、テツ。待たんか～い！」。昭和後期の名作漫画＆アニメ「じゃりン子チエ」の元気な声が聞こえてきそうだ。

　大阪・大正区の「沖縄風　宮城ホルモン店」。店頭で勢いよくホルモンを焼き、手早く串に刺す。テーブルも椅子もない。その場で食べる時は大きな鉄板の前か、軒先の路地で立ち食い。そして辺りは下町風情が残る住宅街。まさに「じゃりン子チエ」の世界である。

「冷蔵ショーケースの缶ビール、缶チューハイ、ソフトドリンクはセルフで、メニューはハラミ、レバー、ホルモン、アブラミの4つ。ハラミが150円で、あとは80円。ハラミだけ串が太いから計算が楽なんだ」

　店主の宮城修さん（55）は大阪生まれだが、祖父と祖母が沖縄・名護出身の移住3世。店は露天商から転身した父親が1981年に創業し、95年に宮城さんが会社員を辞めて継いだ。常連客も多い人気店だが、その秘密は特製ダレにある。

「にんにく、しょうが、とうがらし、香草などのスパイスを一切使ってない。父親が子供たちを喜ばせたい一心で、刺激物のないマイルドな甘辛ダレを作ったんです。子供が好きなら、おとなも絶対に気に入るはずだとね」

10円玉を握り締めて買った懐かしい味

　大正区は区民の4分の1を占めるほど沖縄出身者が多く居住し、飲食店や商店街、住宅などが集まる「リトル沖縄」と呼ばれるエリアがある。最近は観光客も訪れるそうだが、最初のリトル沖縄ブームが巻き起こったきっかけは2012年に放送されたNHK朝ドラ「純と愛」だった。

　宮城さんは「沖縄の宮古島と大正区が舞台となり、区役所や商店街がロケ地になった。それで火がつき、お客さんも飛躍的に増えたんです」と笑顔満開だ。

「じゃりン子チエって聞くと思い出すわぁ。私も子供の頃、ここでホルモンをよく食べたのよ。5円玉、10円玉を握り締めてね」

　レバー10本とアブラミ10本の持ち帰りを注文しながら、そう教えてくれた年配のご婦人。ちむどんどんです。