高野麦酒店(京都・丸太町)海外から仕入れてタップは10 和食をしっかり楽しめるビール屋さん
高野麦酒店(京都・丸太町)
うまいビールをじっくり味わうなら、パブやビアバーなどのビール専門店が一番だ。とことん吟味して仕入れた銘柄を楽しむもよし、注ぎ手の技術を楽しむもよし。珠玉の一杯を提供する東西4軒を取材した。(4回/全4回)
ビールがつなぐ輪
タッタッタッと、由緒ある京都御所で毎週日曜日に15人ほどの軽快な靴音が響く。ビールがつなぐ輪の名称は「ランニングクラブ」。店長の岡田全朗さん(41)も参加して約30分。ゆっくりと4キロ弱を走り終えたら、オープン9周年記念ビールが1杯ずつ提供されてにぎやかに乾杯だ。
「国籍も仕事も年齢も性別も関係ない。お客さん同士の交流が目的なんです。ビールをキッカケにボーダーレスにつながっていける、いわばコミュニティー作り。こういうことをやっている店はほとんどないので、ワクワクするお客さんも多いですよ」
乾杯のアニバーサリービールは、さすが海外クラフトビール専門店というほかない代物だ。
岡田さんがスペイン在住時に世話になり、現在もクラフトビールを仕入れている現地のブルワリーが、醸造にひと肌脱いでくれたのだという。
商品名は「TAKANOYA NOU」。「NOU」とはスペイン・カタルーニャ州の言葉で「9」を意味するのだとか。限定ビールだから品切れになれば、来年3月に迎える10周年まで待たなければならない。
岡田さんはかつて生物系の研究者として英国に出張したことがあり、かの地で口にしたエールビールに心を奪われた。「種類がたくさんあって店によって味も違う。ビールはこんなにも多様なのか」と。
帰国すると、元々客だったこの店で店長として働くことになった。キッカケは京都市内で4店舗を展開する会社のメンバーたちが「自分たちのビールを造りたい」と、3年前に自社ブランドの立ち上げを計画したこと。「面白そうだなと思ったそのタイミングでね」と、独り身だったこともあり、研究者の地位を捨てた。
クラフトビールの神髄を思わせる命名
車で約1時間。京都北部に位置する右京区京北町で1000リットル8本のタンクを持つ工場を稼働させ、自社ビールを「NUDE」(ラージ1300円、ミディアム1100円)と名づけた。「be nude」はありのままにという意味もあり、クラフトビールの神髄を思わせる命名だった。
1号店がパブフードのため、2号店のここは「海外ビールと和食」をコンセプトにした。季節の素材を使ったおばんざいや刺し身、京鴨ササミの山わさび和え、さわらの西京焼き……。締めにはサバ寿司、ミニ海鮮丼も用意し、インバウンドはもちろん日本人にも「こんなにしっかり食事ができるビール屋さんはないね」と、評判が評判を呼んでいる。
そして海外クラフトビールは米国、カナダ、豪州、英国、スペイン、フランス、ドイツなどそれぞれの輸入業者から樽で仕入れ、タップは10。
「お客さんはビールの名前を見てもピンとこないので、好みの味を聞いてオススメを提案するようにしています。バリエーションをそろえる意味でも10タップが必要なんです」
そこで「NUDE」をいただいた。山椒を使っているのでさっぱりとしていて、ジューシーで実に飲みやすい。グラスは国産メーカー「THE」の薄めのものにこだわっているから、ビールの味を邪魔せずダイレクトに味わえる。
料理は豚の角煮、鴨ロース、トマトとおくらのお浸しなどの5種盛り(2500円。2種盛り1000円~)。満足感いっぱいで店を後にした。
(住)京都府京都市中京区蒔絵屋町255
(℡)075-744-1757
平日:午後4~11時
土日祝:午後3~11時
定休日:水曜休



















