(49)富士の麓の炉端焼き
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静岡県富士市は、製紙業やパルプ産業が盛んで、紙のまちと呼ばれている。東海道本線と身延線が連絡する富士駅周辺は、新幹線の新富士駅周辺とは違って、昔ながらの街である。少し歩くと古びているが全盛期には相当な賑わいを見せたことがうかがえる。
そこに1軒の炉端焼き屋を見つけたのは、皮肉なことに、新幹線の各駅で下車して周辺の飲み屋を訪ねる企画を担当していたときだった。初訪問は9年前の夏。生シラスと生ビールでスタートして、サザエのつぼ焼き、イワシとネギのヌタ、イワシの梅煮などを食べながら芋焼酎のソーダ割りに突入して気持ちよく飲んだ。
ご主人と板前さんがカウンターの向こうの調理場にいて、カウンターの外には女将さんとお運びの人がもう1人いたと記憶している。焼き物は長い柄のついたヘラに乗せてカウンターの中から出してくれる。それを受け取ることがなぜか楽しくて、炉端焼き屋に行くと、はしゃいだ気分になる。せっかくだからと、サザエを1つ焼いてもらった。

















