上場企業のエンジニアだった男性は、なぜ「せどり」に失敗してしまったのか
【第13回・後編】「せどり」参入して失敗したMさんの場合
「人生100年時代のロールモデルがいない」――退職後のサラリーマンが迷走している。キャリア、居場所はリセットされ、年金不安時代は資産形成も「自己責任」。「人手不足」の号令の下、今日もシニアは働き続ける。『副業おじさん』『過労シニア』のルポライター・若月澪子が、奮闘し続ける令和シニアの素顔を追う。
◇ ◇ ◇
「自分で商売がやってみたかった」
こう話していたのは、かつては一部上場の電気設備メーカーのエンジニアとして、32年以上勤務していた奈良県在住のMさん(64)。素朴でマジメな雰囲気のシニア男性である。
国内外の工場建設に関わる仕事をしていたMさんは、定年後に物販ビジネスを始めた。Amazon、メルカリ、ヤフオクなどを通じて、ゴルフ用品や絵画、骨董品などを販売する「せどり」である。
ところが、すでに多くの参入者がいる物販で、利益を出すことは「無理ゲー」であった。Mさんは赤字に陥り、退職金も使い果たしてしまう。商売をはじめて3年目には、十分にあったはずの貯金が1000万円を切る事態に至っていた。
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