交通安全指導員の70代男性が「ひきこもり」になった理由はペットだった
【第10回・前編】ペット依存気味シニアKさんの場合
「人生100年時代のロールモデルがいない」――退職後のサラリーマンが迷走している。キャリア、居場所はリセットされ、年金不安時代は資産形成も「自己責任」。「人手不足」の号令の下、今日もシニアは働き続ける。『副業おじさん』『過労シニア』のルポライター・若月澪子が、奮闘し続ける令和シニアの素顔を追う。
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「やることがない、生きていても暇だ」
仕事人生を送ってきた元サラリーマンから聞こえてくる声である。彼らの心を癒すものは何だろうか。
「朝夕、子どもたちの登校時間に横断歩道で旗を振ります。卒業式の日に6年生が『6年間お世話になりました!!』と挨拶してくれた時は、ウルウルして涙が出ました」
感動話を聞かせてくれたのは、大手自動車メーカーを10年ほど前に退職した、都内在住のKさん(74歳)。白髪に眼鏡、やせた体に清潔感のあるブランド物のポロシャツを着たダンディーなシニアである。
Kさんは普段、シルバー人材センターを通じて交通指導員として、朝晩小学生の子どもたちの見守る役をしている。交通指導員専用の蛍光色のベストを羽織り、さわかやに「いってらっしゃい」と子どもたちを送る。子どもたちの見送りが終わると、トイプードルの愛犬ペロくんの散歩に出かけるのが日課だ。
上場企業の潤沢な年金を手にしながら、生活リズムを整えるために「小さな仕事」に従事するKさんは、何不自由なく「正しい余生」を送っているかに見えるのだが……。
しかし、Kさんには憂鬱になる季節があった。

















