五木寛之 流されゆく日々
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連載12393回 大事は末端にあり <1>
私は子供のころ、健康優良児というのではなかったが、病弱、というわけでもなかった。 93歳の今日まで、いわゆる入院というものを経験せずにきたのは、まず幸運といっていいだろう。 小学生の頃、当時…
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連載12392回 傷だらけの履歴書 <5>
(昨日のつづき) きょうの午後は、毎日新聞のインターヴュー。 前にいちど取材を受けたことのある学芸部の棚部記者だったので、ほっと一安心。 インターヴューというのは、記事が出るまでどんな内容…
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連載12391回 傷だらけの履歴書 <4>
(昨日のつづき) 高校を卒業した後、どうするか。 父親は自分が受験、受験、の生活を送ってきたせいで、私の進学にはあまり賛成ではなかった。もちろん経済的な事情が第一の問題である。 すすめる人…
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連載12390回 傷だらけの履歴書 <3>
(昨日のつづき) 母親の旧姓は、持丸(モチマル)という。変った名前だと思っていたら、持丸姓のかたは、けっこう多い。このゲンダイ紙でも、持丸さんというスポーツ関係のかたが、ときおり登場なさることがあ…
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連載12389回 傷だらけの履歴書 <2>
(昨日のつづき) 昨日のこの欄で書いた履歴をもう一度整理すると、「ミサカ小学校」「船橋里小学校」「山手小学校」と、3度、渡り歩いた。 中学は、まず平壌の「平壌一中」、それから福岡県の「八女中学…
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連載12388回 傷だらけの履歴書 <1>
以前、「男の顔は履歴書」という文句が流行ったことがあった。 そういう題名の映画があったような気もする。広告のコピーだったのかもしれない。 キザな文句だが、悪くない。人に言えないような苦労を重…
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連載12387回 庄司薫さんとの対話 <5>
(昨日のつづき) 庄司さんは、いろんな車を乗りつくした後に、シトロエンに落着いた人である。 私はそうではない。もともと車に興味をもったきっかけは、小学生、中学生だった戦時中の軍用機のエンジンへ…
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連載12386回 庄司薫さんとの対話 <4>
(昨日のつづき) この庄司さんとの対談が、いつやったのかがはっきりしない。 当時、私はよく自分でハンドルを握って、横浜/京都間を往復していたのだが、そのときいちばん気になったのは、車の最高速度…
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連載12385回 庄司薫さんとの対話 <3>
(昨日のつづき) 庄司薫さんは一般には一世を風靡した『赤頭巾ちゃん気をつけて』(1969)ばかりが話題になるが、文芸ジャーナリズムへのデビューは、私よりはるかに早い。 大学在学中に世に出た作家…
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連載12384回 庄司薫さんとの対話 <2>
(昨日のつづき) 対談をした当時、庄司さんはシトロエンSMに乗っていた。すでに4万7000キロも走っているという。 その愛車について語りだした庄司さんの口調は、ただの外車マニアではなかった。 …
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連載12383回 庄司薫さんとの対話 <1>
きのうは旧友、正岡貞雄さんと久しぶりに会った。 正岡さんは、私が若い頃のカー・ライフのリーダーをつとめてくれたクルマ雑誌の元編集長で、一緒に外国を車で走り回った仲間である。 こんど私が出した…
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連載12382回 昭和が去ってゆく <5>
(昨日のつづき) 先日、若い編集者に、 「ほら、あの、希望という名の──、という歌があるだろ。藤田敏雄さん作詞の──」 と、言ったら、 「さあ、知らないけど」 と言う。 「岸洋子のう…
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連載12381回 昭和が去ってゆく <4>
(昨日のつづき) しかし、時代が過ぎ去っていくのは当り前のことだ。モノも変るし、ヒトも逝く。 人が消えていくのは別に問題はないが、その人間が抱えている体験の記憶も一緒に消えていくのが問題だ。 …
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連載12380回 昭和が去ってゆく <3>
(昨日のつづき) 昭和の風景を彩るものの一つに、<喫茶店>があった。 最近はカフェとか、コーヒーショップとか呼ぶが、カフェと喫茶店とは、なんとなくちがう。 カフェはコーヒーや会話を娯しむと…
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連載12379回 昭和が去ってゆく <2>
(昨日のつづき) 美輪さんについてのコメントを求める電話が、あちこちからかかってくる。 同じことを何度も喋るのがイヤなので、ぜんぶご辞退。 そもそもこの歳になると、記憶が曖昧で、データを調…
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連載12378回 昭和が去ってゆく <1>
美輪明宏さんの訃報を聞いた。 昭和が静かに去っていく実感があった。 すでに過去となった昭和だが、その余波がさまざまに続いている。 しかし、いよいよ昭和が遠景に退場していく時期にさしかかっ…
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連載12377回 横山剣さんとの新刊──「口笛を吹きながら夜を行け」── <5>
(昨日のつづき) きょうは雨。 私がむかし書いた小説に『雨の日には車をみがいて』という、長い題名のやつがあった。作品のできはともかく、自分の作品の中では気に入っている一冊である。 私が買っ…
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連載12376回 横山剣さんとの新刊──「口笛を吹きながら夜を行け」── <4>
(昨日のつづき) きょうは午後3時から『中央公論』誌のインターヴュー。 いつもインターヴュー取材というと、写真の撮影スタッフや速記者、録音の人、編集関係者など、にぎやかな席になることが多いのだ…
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連載12375回 横山剣さんとの新刊──「口笛を吹きながら夜を行け」── <3>
(昨日のつづき) 歌の話や昔の本牧の思い出ばなしから、やがてクルマの話になる。 70台以上の名車・旧車にまつわるエピソードを、写真入りのエッセイ集にまとめた横山さんだから、内輪の話なども出て、…
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連載12374回 横山剣さんとの新刊──「口笛を吹きながら夜を行け」── <2>
(昨日のつづき) はじめて横山剣さんの歌声を聞いたときには、びっくりした。簡単には要約できないような、独特の声質と、うたいかたを、どう分析すればいいのか、わからなかったのだ。 ハスキーというよ…
