五木寛之 流されゆく日々
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連載12341回 生涯、直らない癖 <1>
前にも書いたが、あいかわらず指を舐めるクセがなおらない。食堂のレジで金を払うとき、千円札の束を出して、まず指をペロリとなめる。なめた指で札を数えて支払いをすませる。 「お札をナメると汚いですよ」 …
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連載12339回 下を向いて歩こう <4>
(昨日のつづき) 最近の戦争は以前の戦争と全然ちがってきた。第1次世界大戦の時代は、塹壕戦だった。モグラのように両軍、壕内にもぐって対峙する。雨の中で何週間も塹壕の中で戦う。 第2次世界大戦の…
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連載12338回 下を向いて歩こう <3>
(昨日のつづき) 明治以来、私たちは常に「上を向いて」歩いてきた。アジア主義というのも、鏡の反面である。欧米という視角をとおして東洋をとらえる傾向があったのではないだろうか。 杖をつくよう…
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連載12338回 下を向いて歩こう <2>
(昨日のつづき) 後期高齢者の杖の用法について、もう少し書く。 昔の文章を読んでいると、「過日、武蔵野に杖を曳き――」などという文句がでてくる。 要するに逍遥というか、ブラブラ散歩した、と…
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連載12337回 下を向いて歩こう <1>
数年前から杖をついて歩いている。 左脚の膝が痛むので、それをカバーするためだ。 外出のときは勿論、最近は室内で移動するときも杖を使うようになった。膝の痛みは<変形性膝関節炎>と診断されている…
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連載12336回 「対談選集」(平凡社)完結 <5>
(昨日のつづき) きょうは部屋を埋めつくしている本の整理にとりかかった。書店で購入する本もあり、著者から贈っていただく本もある。また出版社から届く本もあって、部屋中、足の踏み場もない有様なのだ。 …
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連載12335回 「対談選集」(平凡社)完結 <4>
(昨日のつづき) 駆けだしのライター時代から数えると、活字の仕事を70年あまりやってきた。自分では、いっぱしの書き手のつもりでいるが、いま現在でも<知らないこと><間違って憶えていること>が、呆れ…
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連載12334回 「対談選集」(平凡社)完結 <3>
(昨日のつづき) きょうは午後3時から『家庭画報』の対談。高輪の新しいホテルの一室で。 数年前、このあたりは赤提灯の店が並んでいるような一画だった。 それがいつのまにやら一変。巨大ビルが未…
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連載12333回 「対談選集」(平凡社)完結 <2>
(昨日のつづき) 単行本はべつとして、このところシリーズで完結したのは、東京書籍から出た『五木寛之セレクション』、そして今回の平凡社刊『五木寛之傑作対談集』(全3巻)である。 新刊がでると、そ…
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連載12332回 「対談選集」(平凡社)完結 <1>
平凡社から刊行中だった対談集(全3巻)がようやく完結した。 日本人以外のゲストも多かったので、著作権その他の手続きが大変だったらしい。 ちなみにこのシリーズに再録した外国のゲストは、モハメッ…
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連載12331回 筆不精は遺伝か <5>
(昨日のつづき) 世の中には、おそろしく筆マメなかたがいらっしゃる。だから困るのだ。 しかし、それらのかたがたは努力して筆マメにふるまっていらっしゃるのだろうか。 そうではあるまい。天性、…
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連載12330回 筆不精は遺伝か <4>
(昨日のつづき) こうして考えてみると、私の筆無精は、ただ無精というだけのことではないようだ。 なにか人格的な欠陥とでも言うべきものがそこにあるのではないかと思われてくる。 世の中には筆ま…
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連載12329回 筆不精は遺伝か <3>
(昨日のつづき) わずか一枚の葉書きが書けない。単なる無精というのではない。 なにか精神的な欠陥があるのではないか、という気さえするのだが、自分でもその理由がわからないのだ。 今日は書かな…
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連載12328回 筆不精は遺伝か <2>
(昨日のつづき) 上京して大学に入学するまでは親の世話になったが、それ以後は完全自立する計画だった。 入学早々、住み込みで食事つきの仕事がみつかったので、暮らすほうは何とかなる。それでも、2年…
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連載12327回 筆無精は遺伝か <1>
「欠点自慢」というものがあるとすれば、私の最大の欠点は『筆無精』ということにつきるだろう。 原稿を書くのは気にならない。いまでも毎日、せっせと原稿用紙に万年筆を走らせている。 きょう4月12日…
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連載12326回 変る世界、変らぬ日常 <5>
(昨日のつづき) このところ1年から2年ほど前に刊行された時事的な本を読み返している。それぞれに当時の情勢下で、「この先どうなる」という予測を語ったたぐいの本だ。 先日、私は佐藤優さんとの対談…
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連載12325回 変る世界、変らぬ日常 <4>
(昨日のつづき) このところ、まったく耳にしなくなった昔の言葉の一つに、<かがる>というのがある。 辞書を引いてみると、ちゃんとのっているからエライものだ。 <かがる(縢る) 糸をからげるよ…
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連載12324回 変る世界、変らぬ日常 <3>
(昨日のつづき) いま世界が音を立てて変りつつある。 アメリカのデモクラシーといい、ロシア、中国の社会主義といい、ヨーロッパ文化の沈滞といい、アラブ、アジア世界の不安定といい、ラテン・アメリカ…
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連載12323回 変る世界、変らぬ日常 <2>
(昨日のつづき) いまでも、どうしても辞書を引かなければ書けない漢字が沢山ある。 その中の一つが<そば>だ。<蕎麦>という字をどうしても憶えることができない。 私は幼年時代を外地ですごした…
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連載12322回 変る世界、変らぬ日常 <1>
イヌといっしょで、毎日1回、街を歩かずにはいられない。 外出するのは簡単だ。黒のタートルネックのセーターに茶のブレザー、濃茶のズボン、そしてスウェードのスリップオン。 この数年ほど、その恰好…
