ラストエンペラー
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                         (60)メカ担当のメンバーはOBから「確かに、おっしゃる通りですね……」 納得した様子で頷いた壇だったが、「ひょっとして、ガルバルディがコラボの提案をしてきたのは、これを機にEVの製造でパートナーシップを結ぼうと考えているのでは… 
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                         (59)開発費を使うなら優先はEV「う~ん」 壇は腕組みをして唸ると、「難しい問題ですね……。彼女が指揮を執るとなると、ガルバルディは技術やノウハウの流出を懸念するでしょうね。かといって、人材の流動性を規制する法律は、少なくと… 
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                         (58)2社のコラボは大きな話題「ガルバルディを新型エンペラーの開発に参加させろと?」 先回りする壇に、 「聞いてみれば、彼女のいうことももっともでね」 村雨は頷き、話を続けた。 「トミタのブランドイメー… 
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                         (57)ガルバルディが開発に参加?「そうですか……。ついにこの時が来てしまったんですね……」 EVを専門としていても、創業以来の事業が、いよいよ終焉を迎えるとなると、さすがに複雑な気持ちを抱くのだろう。 壇は何ともいえ… 
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                         (56)世界の富裕層の耳目を惹く「一旦定着してしまうと、覆すのが容易ではないのがブランドイメージというものでね。イメージを変えるには、莫大な費用と長い年月を要するだけでなく、従来の製造ラインナップを全面的に変え、さらにそのイメージを… 
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                         (55)トミタの開発に参加したい「だから、リンがここで身につけた車造りのノウハウを、トミタでフルに活用しても構わない。いや、是非そうすべきだと思う……」 ルイスは短い間を置くと、続けていった。 「そこで相談なんだが、そ… 
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                         (54)簡単に妙案は思い付かないエンジン、シャーシの開発も含めて、新型車一つを開発するには、莫大な費用を要する。それが自動車産業への新規参入を困難にしてきた最大の要因の一つであったのだが、その点EVは全く異なる。 部品のお… 
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                         (53)ただの組み立て屋じゃないか凛が二つ目の理由を先回りすると、 「となるとだ、ガルバルディがEVの製造に乗り出すとなると、少なくともモーターとバッテリーは外部からの調達を強いられることになるわけだ。内装や外観で独自色を出せ… 
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                         (52)EVではエンジン音の魅力は消滅「ユーザーはガルバルディのどこに魅力を感じていると、リンは思う?」 「そりゃあ、第一に生産台数が極めて少ないという点でしょうね。所有しているだけで、ステータスシンボルにもなりますし、所有欲も満た… 
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                         (51)CEOがエスプレッソでもてなし「ええ、お願いします……」 「OK」 ルイスの部屋には、エスプレッソマシンが常設されており、この部屋を訪れた人間には、来客はもちろん、部下にでさえ自ら入れたエスプレッソを供するのが常であ… 
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                         (50)佐村との思い出が詰まった車「確かに、同族経営と承知で入社してきても、ある日突然現れた後継者がいきなり部長になったら、モチベーションが低下しますよね……」 「会社は株主のものと、当たり前のようにいわれますけど、それはあく… 
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                         (49)専務なんて正直、肩身が狭い戸倉が承諾してくれたことに安堵した村雨だったが、今度は戸倉金属加工のことが気になった。 「戸倉さん、会社の方は大丈夫なんでしょうか。新型エンペラーの開発には、フルタイムで従事していただくことに… 
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                         (48)定年は制度と承知の上定年制度は、人材の新陳代謝を図るという観点からも、企業には必要不可欠な制度だ。社員間に能力差が生じるのはやむなきことだが、役員になれない限り、ほぼ一律に定年をもって退職となるのは、個々の能力差を反映… 
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                         (47)頭を下げた村雨に戸倉の声「プライベートとビジネスは別ですからね。トミタのマシンに乗っている間は、プライベートでも他社の車に乗ることは出来ませんが、それはあくまでも契約上の話ですからね。それに、正直なところ、私だって欲しいです… 
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                         (46)ヨシが導いていると?「だから、私はエンジン供給のオファーを断ったんです。戸倉さんがトミタをお辞めになってしまったからには、供給先の期待にこたえるエンジンを開発するのは難しい。リスクが大きすぎると……」 「そこまで、… 
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                         (45)F1マシンはすべて戸倉の作品「なぜです? トミタ最後のガソリン車を造るプロジェクトですよ? 彼らだって止むに止まれず辞めて行くわけですし、在籍したまま新型ガソリン車の開発に従事できるとなれば、希望者は少なからず出てくるんじゃない… 
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                         (44)凛のことを知っているのは──「どこで彼女の存在を知ったんですか? 凛ちゃんのことを知っているのは──」 「松浦さんにお聞きしたんです」 村雨はいった。「実は、このプロジェクトのマネージャーは松浦さんにお願いしようと… 
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                         (43)F1での優勝は大変な名誉「もちろん知っていますけど、それとこれとは話が違いますよ」 「何が違うんですか?」 村雨は、ここぞとばかりに押しに出た。「F1に参戦するには莫大な資金が必要です。ワークスはもちろん、カス… 
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                         (42)トミタのエンジンにオファーが殺到「それは、社長のおっしゃる通りでしょうね。販売台数が増えれば増えるほど、製造コストは下がります。性能が優れているのに価格は手頃。ハイエンド車種でも少し頑張れば手が届く。それが日本車の強みでしたからね」… 
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                         (41)いまさらガソリンエンジン車を?戸倉は小首を傾げ、僅かに目を見開くと、 「いまさらガソリンエンジン車ですか? トミタは近い将来、自社が製造販売する自動車は全てEVにすると、二十車種ものラインナップを公表したばかりじゃありませ… 

 
                             
                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                     
                     
                     
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
         
         
         
         
         
         
        