期待の新人・落合博満が突然「大学を辞めたい」…兄と姉を呼び、3人がかりの説得は深夜に及んだ(上)
元東洋大監督の故・高橋昭雄氏による「見て聞いて育てて42年」(第1回=2013年)を再公開
日刊ゲンダイではこれまで、多くの球界OB、関係者による回顧録や交遊録を連載してきた。
当事者として直接接してきたからこそ語れる、あの大物選手、有名選手の知られざる素顔や人となり。当時の空気感や人間関係が、ありありと浮かび上がる。
今回はあの落合博満氏について綴られた、元東洋大監督の故・高橋昭雄氏による「見て聞いて育てて42年」(第1回=2013年)を再公開。年齢、肩書などは当時のまま。
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入部当時から、打球の質が他の選手とまったく違った。
何しろ、ゆっくりスイングしているように見える。後ろから「もっと力を入れろよ!」と言いたくなるくらい。本当に軽く振っているようにしか見えない。
ふわ~っという感じで高々と舞い上がった打球は一瞬、外野フライかと思う。しかし、そこからグングン伸びて両翼98メートル、中堅122メートルの外野フェンスを軽々と越えていった。
火を噴くような低いライナー性の打球を放っていた当時の野球部の4番打者とは対照的。とにかく柔らかい打球だった。