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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

公開日: 更新日:

 九州場所のふれ太鼓に続く沿道の小旗……博多の冬の風物詩・福岡国際マラソンはいまも実施されているが、世界選手権を自負した時代は遠く、瀬古、中山の熱いドラマが懐かしい。閑古鳥鳴くマラソン界にスペインから吉報が届いた。

 バレンシアマラソンで、大迫傑(リーニン)が2時間4分55秒、わずか1秒とはいえ4年ぶりに日本記録を塗り替えた。

 カルロス・ロペスの世界記録更新は38歳だったから、34歳の快走に驚くこともないが、いかにも大迫らしいプロの“覇気”がうれしい。

 厚底シューズの普及で爪先から着地するキック走法が浸透、記録は底上げされた。そもそも爪先走法だったアフリカ勢に有利な流れで、大迫の記録は世界歴代117位、今年の26位に過ぎない。ただ、このランナーの面白さはそこではない。

 マラソンは大会によってコースなど条件が異なるため、記録は二の次だった。この概念を変えたのが、ナイキ社が1980年代に仕掛けたロッテルダムで、平坦コースにペースメーカーを投入し、キャステラ、ロペス、デンシモに記録を狙わせた。

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