1975 ~そのときニューミュージックが生まれた
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半世紀後の音楽シーンに足りない 偉大な彼らの「知性と教養」
「はっぴいえんど中心史観」なる言葉がある。 いや、もしかしたらこの言葉を作ったのは私かもしれない。はるか8年も前、2017年に発表した拙著「サザンオールスターズ1978-1985」(新潮新書)…
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この年の第一歩がアウトサイダー4人の大成功につながった
1975年以降の元はっぴいえんどの大活躍は、ここには収まりきれない。なので非常にざっくりと、主だったものに絞って並べていく。 まず細野晴臣は、坂本龍一、高橋ユキヒロとのイエロー・マジック・オ…
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この半世紀、後続を許さず女性の心を豊かに彩った「絵画性」
日本の音楽シーンにおいて、ユーミンが残したものは一体何だったのか。 この1975年に「あの日にかえりたい」でチャート1位を獲得し、一躍スターダムにのし上がったユーミン。そして、この年にデビュ…
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あの頃の豊かだった日本を実感させるユーミンバブル期
1975年以降の松任谷由実というテーマで真っ先に浮かぶのは、80年代後半から90年代前半にかけての「ユーミン無双」っぷりだ。 88年から95年に至るまで、毎年秋に発売されるオリジナルアルバム…
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ブレーク前夜、豪徳寺の星空に吸い込まれた唯一無二の高音
前回、1975年以降の井上陽水について「妖怪ぬらりひょんのように、単一イメージでいることを拒否し続けた」と書いた。つかみどころがない不思議な人というイメージが、井上陽水の人気安定化につながったという…
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一貫して漂わせ続けた音楽ビジネスへのアンチテーゼ
このたび発売された拙著新刊「日本ポップス史1966-2023 あの音楽家の何がすごかったのか」(NHK出版新書)にも書いたのだが、1975年当時の井上陽水作品に漂う暗さは、彼の生まれ育った土地の影響…
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改めて「すごみ」を強調したい拓郎のサウンドそのモノの力
「こんなにすごかったのか」 21世紀に入って、吉田拓郎の初期作品をようやっと聴き漁ったときの感想だ。 特にアルバムでいえば、「元気です。」(72年)、「伽草子」「LIVE'73」(73…
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桑田佳祐が大先輩を焚き付けた屈折のリスペクトソング
1975年以降の吉田拓郎を書くにあたって、75年に小3だった私にとっての個人的・吉田拓郎ヒストリーをご紹介しようと思う。 アリスやさだまさし、ゴダイゴなど、いわゆる「ニューミュージック」に、…
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半世紀後の今に通じる不景気と物価高にあえいだ気分
ついに本連載で取り上げる最後のシングルとなる(以降は「総論」的に、本連載で取り上げた音楽家のその後についてまとめていく)。 連載最後のシングルが連載「最高」のシングルであることが、何とも誇ら…
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22歳が悠久の時の流れを超越した「みゆきうた」の特大傑作
半世紀後の今、当時22歳の女性シンガー・ソングライターが書いた歌詞を見て、たいそう驚くのは、そのスケール感にである。 「今はこんなに悲しくて 涙もかれ果てて」と始まりながら「そんな時代もあった…
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商業主義と一線を画す「ヤマハ系」の空気にとても似合った
あの「時代」である。 今や知らぬ者がいないスタンダードだが、シングルとしては、最高位14位で売上枚数も20万枚に満たなかった。デビュー曲「アザミ嬢のララバイ」も最高位38位。同じく1975年…
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拓郎も歌い込んだホンダ・シビックの音を奏でるフォルム
今回は特別編「1975年の自動車業界」。 音楽について、つらつら書いてきた連載だが、書いていくうちに、音楽やカルチャーより、実は自動車業界の方が、時代を鋭敏に反応していたのではないかと思い始…
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詞と曲の革命児が出会った岩崎宏美という奇跡の突然変異種
「1975年の筒美京平」にとっても、最高傑作は岩崎宏美ということになるだろう。 「にとっても」と書いたのは、この年の阿久悠の最高傑作だという話を、かつて本連載に書いたからである。 阿久悠…
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まさにヒットが紡ぐ希代のヒットメーカーのHIT-STORY
歌謡曲/作曲界のレジェンド=筒美京平はこの年35歳。 いきなり余談になるが、彼は1940年生まれで計算がしやすい(他にはジョン・レノン、麻生太郎など)。75年は35歳で、80年は40歳。20…
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この年の総括に値する「ニューミュージック歌謡」の最高傑作
すでに紹介したイルカ「なごり雪」を超えて、令和においても「現役感」を保っている曲だろう。 そもそも名曲だったことに加え、作者の松本隆、筒美京平のレジェンド性が高まるごとに、この曲のレジェンド…
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つかみどころのない歌詞世界が、陽水の音楽人生を長期高値安定化させた
前回取り上げた、この曲のノリノリの演奏は、井上陽水のボーカルにも影響を与えている。 何というか、声が乗っているというか、はじけているというか。 一部、天下の井上陽水にもかかわらず、音…
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「陽水ウィズ・ミカ・バンド」が放つ世界水準のディスコビート
フォーライフ初となる井上陽水のシングルは、フォーライフとして4枚目のシングルである。レコード番号は「FLS-4」。 聴きどころは、井上陽水のボーカルよりも、まずは実にノリノリの演奏だろう。 …
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恋愛抜きの枯れた文学性で勝負した、さだまさしのクレバー戦略
当時まだ小3の私も、リアルタイムでバッチリ認識していた曲である。それどころか、当時この暗くて覚えやすいメロディーが気に入って、口ずさんだりもしていた(いやなガキだ)。 そして「無縁坂」から、…
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桜田淳子がセールスを伸ばした力関係が、翌年ガラリと変わる
桜田淳子、森昌子、山口百恵の3人は、全員日本テレビ系「スター誕生!」出身で、全員同級生。1958年4月から数えて1年間の中で生まれたことになる。 この75年、全員が高2になる年だったので「花…
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「汽車を待つ君の横で時計を気にした駅」は一体どこなのか?
有名曲ばかり取り上げているつもりのこの連載だが、今回は、連載の中でも、現時点でもっとも知られている曲ではないだろうか。 何といっても、昨年のNHK紅白歌合戦で、本人によって歌われたのだから。…
