1975 ~そのときニューミュージックが生まれた
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学生運動の「残り香」は幅広いファンの獲得に貢献した
デビュー前の中島みゆきについて、その後の音楽活動に大きく影響を与えるキーワード。 前回の「吉田拓郎」に続いての2つ目は「学生運動」だ。 中島みゆきは1952年生まれ(ただし早生まれ)…
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学生の頃は「推し」の前でフランクにふるまっていた
デビュー前の中島みゆきについて、その後の音楽活動に大きく影響を与えるキーワードを2つ、ご紹介したい。1つ目は「吉田拓郎」(もう1つは次回)。 当時の中島みゆきが、吉田拓郎のファンだったという…
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MVPのポール以外の3人もいい曲を繰り出している
元ビートルズの4人のうち1975年のMVPはポール・マッカートニーだろう。ヒットアルバム「ヴィーナス・アンド・マース」をリリース。 前作「バンド・オン・ザ・ラン」の名義は「ポール・マッカート…
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解散後ジョージとリンゴが頭角を現しがっぷり四つの状態に
事実上の解散から5年経った1975年の段階でも、日本で、世界で、ビートルズは特別な存在であり続けた。 私は学生時代の一時期、70年代のロック雑誌を後追いで読みまくったものだが、レッド・ツェッ…
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達郎とも共通する海外での学びを国内で生かすプロセス
歴史的作品であるこのアルバムだが、個人的には少々不満もある。サウンド面だ。 いや、矢沢永吉によるメロディーやボーカルは十分に合格点なのだが、アレンジや演奏、録音が、何というか、平均点、合否ギ…
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絶妙な歌詞世界が構築した「日本語ロック」の基本フォーマット
このアルバムのMVPは誰か。矢沢永吉本人は別格として、私は、このアルバムで半数以上の曲を作詞した人物の名前を挙げたいと思う。 相沢行夫だ。 のちに、同じく矢沢永吉のソロ初期のバックを…
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裸一貫で制作費を全額自己負担した26歳、一世一代の大勝負
矢沢永吉、26歳の誕生日の1週間後に発売されたソロデビューアルバムについては、まず矢沢永吉の自叙伝「成りあがり」(角川文庫)にあるこのくだりを読んでほしい。このすごみは、中学時代に読んだときには分か…
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新しい音楽を漂わせた才能が虎視眈々と桂三枝の座を狙っていた
今回も特別編「1975年のテレビ界」。前回は、この年のテレビ業界を代表する「MVP」は萩本欽一だったという話を書いた。 では東京発テレビのMVPを欽ちゃんだとすると、関西のMVPは誰か。東大…
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とてもニューミュージック的な欽ちゃんの素人いじりとアドリブ感覚
今回は特別編「1975年のテレビ界」。 この年のテレビ界MVPといえば、この人しかいない──萩本欽一。 4月から始まった新番組、フジテレビ系「欽ちゃんのドンとやってみよう!」。略称の…
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試行錯誤を一気に省略して完成させた「日本語ロック」唱法
この曲をあらためて聴いて、感心するのは「永ちゃん唱法」が確立していることだ。 難しい話ではない。歌い出しを聴くだけで、すぐに分かる。 「♪I love you, OK」の次の「♪この世…
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永ちゃんの商才を表す「元キャロル」で矢沢を売らない賭け
これぞ記念すべき、矢沢永吉のソロデビュー曲である。 ご存じの通り、矢沢永吉は、1978年にシングル「時間よ止まれ」、アルバム「ゴールドラッシュ」、そして自叙伝「成りあがり」(角川文庫)で時代…
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若者のアコギ需要を掘り起こしたコードストロークの魅力
「♪ジャンジャン・ジャラッジャ・ッジャッジャ・ッジャジャッ」 数年後、音楽シーンを席巻することとなるアリスを世に出した初ヒット曲である。 チャート最高11位、30万枚弱売れているのだか…
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冷静に考えると悪くはなかった「ロンドン空中分解事件」
バンドが解散することを、よく「空中分解」と表現するが、サディスティック・ミカ・バンドの解散は、まさに空中分解だった。 ロキシー・ミュージックとのイギリス公演を終えて、ミカ・バンドのメンバーは…
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音質の限界を突破する70年代日本バンドによる最高のライブ演奏
「ちゃんとした録音機材、何で用意してへんかってん!」と何度思ったことだろうか。 このイギリス公演が、日本ロック史に残るという感覚がなかったのか、準備が忙しくて、それどころじゃなかったのか、もし…
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ロンドンっ子を熱狂させたバカテクとオリエンタルムード
イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)に先駆けて、1975年の段階で、海外で活躍したバンドといえば、サディスティック・ミカ・バンドである。 この年の10月、イギリスの人気バンド=ロキシー…
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今はなき「西早稲田通り」のレコード屋に思いを馳せる
ずっと気になっていたのだが、「恋の西武新宿線」の歌詞にある「西早稲田通り」ってどこだ? 確かに「早稲田通り」という有名な道路はあるが、あの通りを西や東に区分する言い方など、この曲以外に聞いた…
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若き浜田省吾のエネルギーが充満した青春初期衝動を聴く
本連載では、愛奴に関する記事で、すでにこの曲について好意的に語っている。今回また聴いてみて、あらためてこの曲の魅力を痛感したところである。 実はこの曲、いくつかのバージョンがあるのだが、私が…
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オールナイト野外フェスを音楽文化に定着させた拓郎の約束
石田伸也「吉田拓郎疾風伝」(徳間書店)に記された、拓郎の生の言葉を通して「吉田拓郎・かぐや姫 コンサート・イン・つま恋」当日のリアルに迫る回の続編。 「朝までやるよ! 朝まで歌うよ!!」と吉田…
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伝説のドエラいコンサートを彩る伝説の言葉たち
伝説的なコンサートは、伝説的な言葉によって生み出される──。 石田伸也「吉田拓郎疾風伝」(徳間書店)には、「吉田拓郎・かぐや姫 コンサート・イン・つま恋」の実現に向けて、主役・吉田拓郎が放っ…
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拓郎頂点の瞬間に始まったフォークの時代からの転換
「つま恋といえば吉田拓郎、拓郎といえばつま恋」である。 静岡県掛川市にある「ヤマハリゾートつま恋」(現「つま恋リゾート彩の郷」)で行われた、正式名称「吉田拓郎・かぐや姫 コンサート・イン・つま…