「皮膚の悩み放っておいていませんか?専門医が伝える『化膿性汗腺炎』との向き合い方」~監修:葉山惟大医師(日本大学医学部皮膚科准教授)

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人に話をしにくいデリケートな肌トラブル~化膿性汗腺炎

ユーシービージャパン株式会社
監修:葉山惟大医師(日本大学医学部皮膚科准教授)

「皮膚の悩み放っておいていませんか?」
 日頃から身だしなみに気を配り、スキンケアを意識する働く人が増えてきました。特に日差しが強かった昨年(2025年)の夏には、日傘を差して歩く姿も珍しくなくなり、ケアへの意識の高まりが広がっています。

 ところが、実際には皮膚に関する悩みを抱えている人も少なくありません。特に脇やおしりなど、目に見えにくく、人には相談しづらいデリケートな部位のトラブルは、ひとりで悩みを抱えがちです。

特に痛み、膿、悪臭……不快な症状に悩まされる日々が

 肌荒れやシミ、ニキビ、シワなど肌のトラブルはさまざまありますが、その中でも痛みや膿、悪臭など、本人はもちろん周囲の人たちにも不快感を与える可能性がある疾患のひとつ「化膿性汗腺炎(かのうせいかんせんえん)」をご存知でしょうか。

 この疾病は、脇の下やお尻、太ももの付け根、乳房の下、生殖器や肛門の周囲など、毛穴で発生しやすい皮膚の病気です。

 毛穴が詰まり、慢性的な炎症が起こって赤く腫れあがったおできのようなものができると、それがなかなか治りません。一度治っても繰り返してできるとともに、腫れたり膿が出たり、痛みを伴ったりするなどの症状が出るのが特徴です。

気になる症状は早めにチェックを!悪化を防ぐ第一歩に

 では、そのまま症状が進行すると、いったいどうなってしまうのでしょうか?

 化膿性汗腺炎に詳しい日本大学医学部皮膚科准教授の葉山惟大医師に聞いてみました。

「皮膚の下に膿が溜まり続くと、毛を包んでいる袋(毛包)が破れて炎症が広がり、痛みやにおいを伴うことがあります。症状が進むと、入浴がつらく感じられたり、お尻に症状が出た場合には座るのが困難になることもあります。運転など、日常の動作に支障をきたすケースも見られます」

「また、痛みによって睡眠の質が下がり、疲れが取れにくくなる方もいます。そうした状態が続くと、日常生活に影響が出たり、仕事に集中しづらくなることもあります。気分が落ち込み、人との関わりを避けがちになるケースも見られます」


「研究が進む中で見えてきた化膿性汗腺炎の姿」

 化膿性汗腺炎を考えるうえで見逃せないことがあります。それは医学が進んだ今でも、この病気は分からないことが多いということです。前出の葉山医師は、

「そもそも、化膿性汗腺炎がどのような仕組みで発症するのかについては、まだ完全には明らかになっていません。自然免疫の働きが関係しているのではないかと考えられていますが、なぜ慢性的に続くのかについては、現在も研究が進められているところです。ただ、治療法は複数あり、症状に応じた対応が可能になってきています」

 この点は治療にも大きく影響しています。葉山医師に続けて聞いてみました。

「化膿性汗腺炎の治療については、まだすべてが解明されているわけではありませんが、症状に応じた複数の治療法が確立されつつあります。まず、炎症が軽度な段階では、抗生物質の内服薬を使って炎症を抑える治療が基本となります。多くの方はこの段階で症状のコントロールが可能ですが、薬の効果に個人差があるため、2種類ほど試しても改善が見られない場合には、次のステップとして生物学的製剤などの注射薬を検討することになります。 注射薬は、より強い抗炎症作用が期待できる一方で、費用が高額になるケースもあります。ただし、日本には高額療養費制度などの支援制度があり、一定の自己負担限度額を超えた分は補助される仕組みも整っています。治療の選択肢が広がってきている今、医師と相談しながら無理のない方法を一緒に考えていくことが大切です」

「また、最近では海外を中心に、毛穴そのものをレーザーで除去する外科的治療も試みられるようになってきました。こうした新しいアプローチについては、まだ長期的な効果や安全性の検証が進められている段階ですが、今後の研究の進展によって、より多くの患者さんにとって有効な治療法が確立されていくことが期待されています」

「化膿性汗腺炎は皮膚の表面ではなく、奥深い部分で炎症が起こる病気です。慢性的に繰り返す傾向があり、痛みやにおいを伴うこともあるため、生活の質に影響を及ぼすことがあります。症状によっては、人との関わりに不安を感じる方もいらっしゃいます。いずれにしても、気になる症状がある場合には、できるだけ早めに医療機関を受診し、適切な治療を始めることが大切です」

「当てはまることはありますか?5つのセルフチェック」

 発症の原因はまだ完全には明らかになっていませんが、葉山医師によると、糖尿病を患っている方は、化膿性汗腺炎に対してより注意が必要だといいます。

 そして、そうした方が一度この病気を発症し、以下のような所見がみられる場合には、症状が進行しやすくなる可能性があるとされています。

監修医によるセルフチェック項目

① 1つ以上の排膿性瘻孔(膿が皮膚を破って外に出た後に残る通路のようなもの)がある

② 抗炎症作用のある内服抗菌薬による治療でも炎症が長引いている

③ 性器部、会陰部、臀部の病変や、毛巣洞(主に肛門のやや上の皮膚に小さな穴が開き、皮下に空洞ができた状態)を併発している

④ 家族歴がある

⑤ 悪化因子や併存疾患がある(例:喫煙、肥満、糖尿病など)

 こうした複数の要因が重なることで、症状が悪化しやすくなる傾向があるため、早めの受診と適切な治療が重要です。

「悪化を防ぐためにできる生活習慣の工夫」

 化膿性汗腺炎の悪化を防ぐために、日常生活でどのような点に気をつければよいのでしょうか。重ねて葉山医師にうかがったところ、5つ挙げてくださいました。

① 禁煙
喫煙は、化膿性汗腺炎の悪化や再発に関係していると考えられています。禁煙に取り組むことで、症状の安定につながる可能性があります。

② 減量
肥満も悪化因子のひとつとされており、適正な体重を保つことが、症状のコントロールに役立つと考えられています。

③ スキンケア
汗をかきすぎたり、皮膚を強くこすったりすると、炎症が悪化することがあります。シャワーなどで清潔を保ちつつ、肌を乾いた状態に保ち、摩擦や刺激を避けるよう心がけましょう。ムダ毛の処理も、清潔を保つうえで有効とされています。

運動
激しい運動や反復する動きは、皮膚の摩擦や発汗によって症状を悪化させることがあります。一方で、適度で継続的な運動は血行を促進し、ストレス軽減や体重管理にもつながるため、無理のない範囲で取り入れるとよいでしょう。

⑤ 睡眠
睡眠の質が低下すると、炎症が悪化しやすくなることがあります。規則正しい生活リズムを意識し、十分な休息をとることが大切です。

「ひとりで悩まず、まずは皮膚科で相談を」

 化膿性汗腺炎は、男性にやや多く見られる病気で、特に20代後半から発症する方が増え始め、30〜40代になると症状が強くなるケースもあるといいます。※1,2,3

 また、運転などで長時間座ることの多い職業の方は、発症後に生活の質(QOL)への影響が大きくなる可能性もあります。デスクワークが中心のビジネスパーソンにとっても、早期に治療を始めることの大切さがうかがえます。

最後に葉山医師は、こう話します。

「お尻や性器のまわりなど、デリケートな部位に症状が出ることが多いため、受診をためらう方も少なくありません。ただ、化膿性汗腺炎は、放置すると症状が進行しやすくなることがあります。気になる症状がある場合は、早めに皮膚科で相談してみることをおすすめします」

 気になる症状がある方は、ひとりで抱え込まず、まずは専門医に相談してみると安心につながるかもしれません。


監修:葉山惟大医師(日本大学医学部皮膚科准教授)
※本記事全体の内容について監修をいただいています。
取材日:2025年12月8日 取材場所:日本大学医学部附属板橋病院(東京都板橋区)
提供:ユーシービージャパン株式会社

※1:Lee EY, et al.:Can Fam Physician. 63(2):114-120, 2017.
※2:Kromann CB, et al.:Br J Dermatol. 171(4):819-24, 2014.
※3:Hayama K, et al. J Dermatol. 47:743-8, 2020

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