「俺の前にランナーをためるための練習を一生懸命せえよ」 俺は名電史上最悪の主将だった
「任せろ。絶対打ってやるから」
同級生にそう言って打席に立った。プレッシャーなど微塵も感じなかった。すでに“チーム山﨑”のような状態。「俺が打たなきゃ誰が打つんだ」と思えば、「役割を果たすのみ」と冷静になれた。結果は満塁本塁打で逆転勝利。県大会の切符を手にして無事、“地獄の冬”を回避することに成功した。
中村監督は試合中に厳しく声を張り上げることこそあったものの、義理と人情を大事にする寛容で穏やかな性格。特に俺に関しては大甘だった。そのおかげで、主将に就任した俺はやりたい放題。練習嫌いだった俺は主将特権を利用して夕食後の「夜特」(午後8~10時の夜間練習)もサボっていた。
「夜特」が始まってもすぐには行かず、終わりがけにスリッパをパタパタと鳴らして“重役出勤”。汗を流すチームメートにこう言っていた。
「おまえら、しっかりやっとけよ。俺は帰るからな。俺の前にランナーをためるための練習を一生懸命せえよ」
そして俺は部屋でくつろぐ。史上最悪の主将だった。


















