五木寛之 流されゆく日々
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連載12358回 わが生涯の悔恨 <1>
この齢になって後悔してもはじまらないが、いまさらのように残念に思うことが多々ある。 その中でも、最近しきりに口惜しく思うのは、両親にもっと話を聞いておけばよかったということだ。 人はものごこ…
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連載12357回 神隠しと失せもの <5>
(昨日のつづき) かつて『山窩』と、差別的に呼ばれた人々が、この列島にはいた。非定住形の一族である。広辞苑には、『(多くサンカと書く)村里に定住せずに山中や河原などで家族単位で野営しながら漂泊の生…
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連載12356回 神隠しと失せもの <4>
(昨日のつづき) 神隠しの異変は、いまだに解けない。 サムライの刀にも似た筆記用具である万年筆が、まだ、みつからないのである。 老眼鏡のほうは、どこからか突然、現れた。電話の横に、いかにも…
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連載12355回 神隠しと失せもの <3>
(昨日のつづき) いつも原稿を書くのに使っている万年筆がない。机の上はもちろん、部屋中さがしまわるがみつからないのである。 昨夜、寝る前まで書いていた万年筆だ。せまい部屋のどこに隠れ場があると…
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連載12354回 神隠しと失せもの <2>
(昨日のつづき) きょう5月25日は、けっこうあわただしい一日だった。 午後、2時30分迎えのタクシーでNHK放送センターへ。4階のスタジオで2週分を録音。聴き手、兼プロデューサーの渡辺さんと…
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連載12353回 神隠しと失せもの <1>
きょうは終日、どこかへ消えてしまったモノ探しで、一日が終った。 日常、いつも使っている道具が、どこかへ消えてしまう。失くなったわけではない。 どこかに隠れてしまっているのだ。 たとえば老…
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連載12352回 座右の書は新聞コラム <5>
(昨日のつづき) 短い文章ほど書くのがむずかしいものだ。新聞のコラムともなれば、おのずとテーマは大きく入れものは小さくなる。 大きな内容を小さな器におさめて、さらに起承転結をつける苦労はさぞかし、…
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連載12351回 座右の書は新聞コラム <4>
(昨日のつづき) 全国各紙のコラム展望の続き。 末尾に<抄>という字がついたタイトルがいくつかある。 下野新聞の<雷鳴抄>はゴロゴロと鳴り響く音がきこえそうだ。 埼玉新聞は<さきたま抄…
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連載12350回 座右の書は新聞コラム <3>
(昨日のつづき) <天声人語>といえば、朝日新聞、と誰もが知っている。<河北春秋>といえば、「河北新報だな」と連想がはたらく。茨城新聞もそうだ。<いばらき春秋>である。新聞社の社名がはいっているコラ…
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連載12349回 座右の書は新聞コラム <2>
(昨日のつづき) 以前、『親鸞』という新聞小説を連載したことがあった。小説の出来はともかく、思いがけず沢山の読者からの反響があった。 それは、日本全国、というのはちょっとおおげさだが、掲載紙の…
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連載12348回 座右の書は新聞コラム <1>
「愛読書は?」 とか、 「座右の書をあげてください」 などと言われると困ってしまう。 私は若い頃から、しょっちゅう旅をしてきた。90歳を過ぎた最近でも、月に2、3回はどこかへ出かけている…
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連載12347回 体と遊ぶ面白さ <5>
(昨日のつづき) 世の中には2つのタイプの人がいる。 ひとつは一旦きめたことは、なにがなんでもやり通すことができるタイプである。もう一つは、最初これは役に立ちそうだと始めながら、すぐに飽きてし…
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連載12346回 体と遊ぶ面白さ <4>
(昨日のつづき) 体について書くつもりが、昭和論に脱線してしまった。元の体の話にもどす。 私は小学生の頃、剣道をやっていた。 夏休みのときなど、休みを返上して稽古にはげんだものである。 …
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連載12345回 体と遊ぶ面白さ <3>
(昨日のつづき) <昭和>という時代は、ひとことでは言いあらわすことができない。 おおざっぱに分けて、いくつかに区切ったほうがいいような気がする。 まず、戦前の昭和。 私が生まれる前の昭…
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連載12344回 体と遊ぶ面白さ <2>
(昨日のつづき) 私は長年、文筆で生計をたててきた。 大学時代の卒論の代作を皮切りに、なんでもやった。大学を横に出て(中退のこと)、業界誌の編集者をやっていた時代から、放送関係のライター、CM…
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連載12343回 体と遊ぶ面白さ <1>
この歳になって感じるのは、やはり<体と心>の関係である。 それは節制というより、遊びに近い。大まじめで健康を考えるより、面白がってあれこれためしてみるほうが役に立つ。 体のトレーニングの大事…
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連載12342回 生涯、直らない癖 <2>
(昨日のつづき) 子供の頃から続いていて、今も直らない癖の一つが、入眠儀式だ。 夜、眠る前に必ずやる作業である。これをやらないと自然に眠れない。手もとに用具がないときは大変だ。 入眠儀式と…
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連載12341回 生涯、直らない癖 <1>
前にも書いたが、あいかわらず指を舐めるクセがなおらない。食堂のレジで金を払うとき、千円札の束を出して、まず指をペロリとなめる。なめた指で札を数えて支払いをすませる。 「お札をナメると汚いですよ」 …
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連載12339回 下を向いて歩こう <4>
(昨日のつづき) 最近の戦争は以前の戦争と全然ちがってきた。第1次世界大戦の時代は、塹壕戦だった。モグラのように両軍、壕内にもぐって対峙する。雨の中で何週間も塹壕の中で戦う。 第2次世界大戦の…
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連載12338回 下を向いて歩こう <3>
(昨日のつづき) 明治以来、私たちは常に「上を向いて」歩いてきた。アジア主義というのも、鏡の反面である。欧米という視角をとおして東洋をとらえる傾向があったのではないだろうか。 杖をつくよう…
