検察vs政界 経済事件記者の検証記
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【東京佐川急便事件】異聞(174)「守れず申し訳ありません」涙を浮かべ金丸に電話したとされる小沢一郎
金丸信の弁護人の安部昌博の事務所には、金丸が上申書提出に応じるかどうかを探る報道各社が詰めかけていた。1992年9月23日午後5時5分、安部が夫人の運転する車で出かけるのを、複数の記者が目撃した。安…
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【東京佐川急便事件】異聞(173)「徹底抗戦の小沢さんらは無視していい」
金丸信の5億円闇献金事件を罰金で処理する検察方針をめぐり対立する竹下派内──小沢一郎グループと梶山静六、竹下登ら反小沢グループの暗闘の話に戻る。 混乱する竹下派内で、検察が金丸の取り調べを見…
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【東京佐川急便事件】異聞(172)根来次官と親しかった梶山清六は聴取なしの上申書決着路線
金丸信の5億円闇献金捜査当時、法務省事務方トップの法務事務次官、根来泰周は政界と意を通じているのでないか、と取り沙汰された。特に、マスコミが注目したのが当時、自民党国対委員長だった梶山静六との関係で…
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【東京佐川急便事件】異聞(171)「金丸を処罰というわけにはまいらぬ」と法務事務次官に告げた検事長
法務事務次官だった根来泰周が作成した覚書には、朝日新聞の闇献金報道を受けて金丸信が時効成立前の5億円授受を認め、特捜部が立件に向けて動き出したころ、検察ナンバー2の東京高検検事長だった藤永幸治が「金…
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【東京佐川急便事件】異聞(170)「検事総長が罰金処分に内心消極的」との偽情報は誰からか
金丸信への罰金処理方針に対し、小沢一郎側近の佐藤守良議員が、官房副長官の石原信雄に「(検察に)起訴猶予の線で押してもらえぬか」と求めた問題──。 石原は、法務事務次官の根来泰周に佐藤の要請を…
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【東京佐川急便事件】異聞(169)官房副長官が法務事務次官に「起訴猶予の線で押して」と伝えた
金丸信の5億円闇献金捜査で政界から法務・検察側に干渉があったのは、検察が「容疑を認める上申書による罰金処理」の処分方針を決めた直後のことだった。 法務事務次官だった根来泰周が残した覚書「検事…
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【東京佐川急便事件】異聞(168)上申書決着を受け入れた金丸側弁護士の豹変
検察側の方針は、金丸信が罪を認める上申書を提出すれば取り調べなしで罰金20万円に処すことで固まった。それを受けて1992年9月21日、特捜部長の五十嵐紀男は金丸側弁護士の安部昌博を呼び、「容疑を認め…
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【東京佐川急便事件】異聞(167)「上申書決着を言い出したのは次長検事」と元特捜部長が証言
1992年9月18日夜に開かれた検察首脳会議で、金丸信に対し罰金処理とすること、罪を認める上申書を提出すれば、あえて取り調べにこだわらない――との方針が決まった。のちのち大問題となるこの検察側の方針…
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【東京佐川急便事件】異聞(166)政界側から浮上した「取り調べに代えて上申書で済ませる」案
朝日新聞1992年9月12日朝刊が「東京地検、金丸氏に出頭要請 本人は応じぬ意向 佐川献金」と報じると、翌13日の毎日新聞朝刊は「金丸氏側、上申書提出の意向 本人事情聴取の打診受け」と伝えた。 …
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【東京佐川急便事件】異聞(165)出頭要請をめぐり金丸信側と検察はけんか腰の攻防を
金丸信への5億円提供時期に関する東京佐川元社長、渡辺広康の供述の変遷。果たして渡辺は真相を語ったのだろうか。 当時の捜査幹部のひとりは後に、「渡辺は、金丸信側に5億円ずつ2回、10億円を提供…
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【東京佐川急便事件】異聞(164)渡辺元社長の供述をすぐ調書化しなかった理由は…
5億円闇献金事件関係者の供述の信用性の問題は、金丸信秘書の生原正久だけでなく、東京佐川元社長の渡辺広康についてもあった。渡辺は、生原調書と符合するように従来の供述を変更した。それは信用できるものなの…
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【東京佐川急便事件】異聞(163)生原秘書は金丸の上申書提出後に帰属を認める調書にサイン
金丸信の元秘書の生原正久は「親父(金丸)が罪を認める上申書提出(92年9月25日)まで、親父本人宛てであるという『帰属の認識』調書にはサインしなかった」と証言した。 一方、最高検が特捜部の金…
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【東京佐川急便事件】異聞(162)佐藤守良議員から「しゃべりすぎないように」とプレッシャーが
金丸信立件のキーマンとなった生原正久。味方である金丸側近の小沢一郎の側からも強いプレッシャーを受けていたという。 生原が語る(太字部分は「法と経済のジャーナル」から引用)。 小沢さん…
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【東京佐川急便事件】異聞(161)「今さら、そんなこと言われても。供述は真実・真相と確信」
金丸信の金庫番秘書、生原正久から、東京佐川元社長、渡辺広康が運んできた5億円闇献金を「親父の指示で受け取った」との、金丸本人の帰属に結び付く供述調書を取った特捜部。だが、その後は生原の抵抗に手を焼く…
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【東京佐川急便事件】異聞(160)検察は「親父の指示があった」という生原供述だけが頼り
金丸信の金庫番秘書、生原正久の話は続く(太字は「法と経済のジャーナル」から引用)。 (東京佐川元社長の)渡辺(広康)さんからカネを持って行く、との電話があって、確かに親父の耳には入れたが、あく…
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【東京佐川事件】異聞(159)生原秘書は「親父を罪人にする? 冗談じゃない」と強く抗議した
金丸信の金庫番秘書、生原正久の供述で、5億円の授受の時期は「90年1月中旬」で確定。3年の時効が完成していないことは固まった。また、「寄付が金丸本人に帰属する」蓋然性も強くなった。 金丸本…
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【東京佐川急便事件】異聞(158)生原秘書の話した内容が検察からマスコミに漏れている
とはいえ、金丸信の金庫番秘書、生原正久が言う通り、5億円授受の時期が1989年9月か10月であったとしても、検察が容疑を認知した92年8月27日の時点では、金丸の寄付の量的制限違反はまだ3年の時効は…
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【東京佐川急便事件】異聞(157)「東京佐川元社長が1人で5億円を運んできたという供述もウソ」
金丸信の金庫番秘書の生原正久は、5億円闇献金について時期だけでなく、東京佐川元社長の渡辺広康からの受け渡しの場面も、供述調書は事実に反すると語る(太字は「法と経済のジャーナル」から引用)。 …
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【東京佐川急便事件】異聞(156)生原秘書が特捜部に「事実と異なる」供述をした理由
金丸信の金庫番秘書、生原正久は筆者の取材に「調書の内容は作りあわせ。実際の5億円の授受の時期が違う」と語った。事実なら、金丸有罪の根拠となった生原の供述調書の信用性に疑問符がつく。生原は、なぜ記憶と…
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【東京佐川急便事件】異聞(155)金庫番秘書が取り調べ状況を語る
金丸信の金庫番秘書だった生原正久は筆者の取材に応じ、特捜部の取り調べ状況をつぶさに語った。2011年のインタビューでの生原証言メモは、いま読み返してみても生々しく興味深い。(太字は「法と経済のジャー…