1975 ~そのときニューミュージックが生まれた
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この年の総括に値する「ニューミュージック歌謡」の最高傑作
すでに紹介したイルカ「なごり雪」を超えて、令和においても「現役感」を保っている曲だろう。 そもそも名曲だったことに加え、作者の松本隆、筒美京平のレジェンド性が高まるごとに、この曲のレジェンド…
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つかみどころのない歌詞世界が、陽水の音楽人生を長期高値安定化させた
前回取り上げた、この曲のノリノリの演奏は、井上陽水のボーカルにも影響を与えている。 何というか、声が乗っているというか、はじけているというか。 一部、天下の井上陽水にもかかわらず、音…
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「陽水ウィズ・ミカ・バンド」が放つ世界水準のディスコビート
フォーライフ初となる井上陽水のシングルは、フォーライフとして4枚目のシングルである。レコード番号は「FLS-4」。 聴きどころは、井上陽水のボーカルよりも、まずは実にノリノリの演奏だろう。 …
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恋愛抜きの枯れた文学性で勝負した、さだまさしのクレバー戦略
当時まだ小3の私も、リアルタイムでバッチリ認識していた曲である。それどころか、当時この暗くて覚えやすいメロディーが気に入って、口ずさんだりもしていた(いやなガキだ)。 そして「無縁坂」から、…
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桜田淳子がセールスを伸ばした力関係が、翌年ガラリと変わる
桜田淳子、森昌子、山口百恵の3人は、全員日本テレビ系「スター誕生!」出身で、全員同級生。1958年4月から数えて1年間の中で生まれたことになる。 この75年、全員が高2になる年だったので「花…
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「汽車を待つ君の横で時計を気にした駅」は一体どこなのか?
有名曲ばかり取り上げているつもりのこの連載だが、今回は、連載の中でも、現時点でもっとも知られている曲ではないだろうか。 何といっても、昨年のNHK紅白歌合戦で、本人によって歌われたのだから。…
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阿久悠の言葉と岩崎宏美の声という最高の組み合わせ
この年の阿久悠の活動について、前回は、沢田研二「時の過ぎゆくままに」と都はるみ「北の宿から」の話をしたが、それでも「1975年の阿久悠」を代表するプロジェクトは、岩崎宏美をおいて、他にはないと断言で…
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翌1976年のレコ大に結実する、フォークの香りを捉えた鋭敏なセンス
1975年の阿久悠は、どのような曲を手掛けていたのだろう。 「移りゆく時代 唇に詩~阿久悠大全集~」というCDセットがある。何と14枚組、定価3万9690円。97年発売。 当時、値段を…
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天衣無縫ボーカルが体現した太平洋を渡る洋楽的な感覚
「二重唱(デュエット)」→「ロマンス」というホップ→ステップに続く「岩崎宏美、1英単語タイトルシリーズ」のジャンプである。 売上枚数は「ロマンス」から下がるも、クオリティー的にはまさにジャンプ…
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石油危機の不景気な時代と寝た小椋佳の希薄なメッセージ性
10月10日に発売されているということは、この曲が主題歌となった日本テレビ系の同名ドラマが、1975年10月から始まったということだ。 そして高い人気を得たこともあって、このドラマは、翌年の…
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憂いを秘めた山本潤子のスキャットがナンバーワンに貢献した
この曲がヒットしたのには、音楽的には、イントロの貢献がとても大きいと思う。 1975年の若者に対して「あの日にかえりたい!」、具体的にいえば、60年代後半~70年代前半──「あの熱かった時代…
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究極の都会人が男性・年上・田舎にまで間口を広げチャート1位を奪取
「『いちご白書』をもう一度」をチャート1位に送り込んだユーミンの経験が、大いに生きていると感じさせる曲である。 この連載でバンバン「『いちご白書』~」を取り上げたときに書いたのは、1975年の…
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いよいよ「新しい音楽」が時代のど真ん中にたどり着いた
ある意味では、この曲によって、本連載も最終章に入ったということになる。 10月初頭に発売されたユーミンのこのシングルが、チャートの1位に輝くのだから。 この事実から言いたいことは、つ…
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「よしだたくろう的」な音楽が少しずつ時代とズレていく
「よしだたくろう的」と感じるのだ。吉田拓郎の曲なのだから当たり前だろうと思われるかもしれないが、ここでは表記の話をしている。 このシングルで「よしだたくろう」から「吉田拓郎」に名義を変えたにも…
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売り上げ的に面目を保った「シン・拓郎」の記念すべき1枚
「約30万枚も売れたのか」「最高4位まで行ったのか」──正直にいえば、そういう感想を持つ。 つまり当時小3だった私には、よく聴こえてこなかった曲なのだ。それでもこれだけ売れたというのは、東大阪…
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研ナオコの悲しげなボーカルが中島みゆきの「魅力拡散装置」となった
この曲を聴いて想起するのは2人の音楽家だ。 まずは、中島みゆきの少女時代のアイドルだった吉田拓郎である。共通点は「3拍子」(8分の6拍子含む)。 「アザミ嬢のララバイ」は3拍子で、さら…
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自由で柔軟な言葉と完成された歌を持って現れたラスボス
中島みゆきの記念すべきデビュー曲である。 チャート最高38位は悪くない。矢沢永吉「アイ・ラヴ・ユー、OK」が43位、シュガー・ベイブ「DOWN TOWN」と愛奴「二人の夏」が圏外だったことを…
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パニック映画ブームの陰でエロチック需要を掘り起こした
今回も特別編で「1975年の映画界」。 一言でいえば、「パニック映画」大ブームの年だった。超高層ビル火災を描いた「タワーリング・インフェルノ」、大地震を描いたその名も「大地震」。航空事故を描…
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「1月18日生まれ」の2人によって培われた深夜の歴史
今回は特別編「1975年のラジオ界」。小3の私が、兄貴との相部屋にあった小さなラジカセで、おそるおそる阪神戦の中継などを聴き始めた年。つまり私のラジオデビューイヤーでもあったのだ。 ただ、こ…
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学生運動の「残り香」は幅広いファンの獲得に貢献した
デビュー前の中島みゆきについて、その後の音楽活動に大きく影響を与えるキーワード。 前回の「吉田拓郎」に続いての2つ目は「学生運動」だ。 中島みゆきは1952年生まれ(ただし早生まれ)…
