1975 ~そのときニューミュージックが生まれた
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ヒットの理由は大衆性を招き入れた「声」にある
かまやつひろしの大ヒット曲である。 私は彼が在籍したザ・スパイダースが大好きで、とりわけスパイダース時代にかまやつひろしが発揮した鋭過ぎる音楽センスをこよなく愛する者である。 しかし…
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今は失われた音とあの頃の青春の重さにグッとくる
恥ずかしい話を白状すれば、この原稿のために改めて聴いて、グッときた。グッときすぎて、ちょっと泣いてしまったのだ。そして、今聴くとグッとくる理由が少し分かった気がした、という話を早く書きたいので、基本…
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山上路夫の歌詞と筒美京平の編曲に立ち込める「匂い」
いよいよ今回から、1975年にヒットした曲やアルバムを時系列で1曲/1枚ずつ取り上げていく。 まずは1月20日発売のこの曲。野口五郎を象徴する一曲である。 しかし驚くのは、まずこの曲…
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1975年4月13日、日曜日に新たな伝説が始まった
日比谷公園大音楽堂(野音)が、今年の10月1日に使用休止となり、再整備工事期間に入る。 数々の伝説のコンサートが開催された会場だが、1つだけ挙げるとすれば、キャロルの解散コンサートになるだろ…
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「キャロル」でのジョニー大倉の先見性とボーカルはもっと評価すべき
この連載では、1975年にデビューした山下達郎、浜田省吾、中島みゆき、矢沢永吉を「BIG4」としてくくるのだが、矢沢永吉の場合は「ソロデビュー」であり、バンド「キャロル」としては3年前にすでにデビュ…
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初期ファンを幻滅させた「ルージュの伝言」のポップ感
1975年が「ユーミン元年」だったという話をする。 「ルージュの伝言」「卒業写真」が収録されたアルバム「COBALT HOUR」を6月に発売。バンバン(ばんばひろふみ在籍のグループ)に提供した…
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荒井由実の「新感覚派」の本質は変態的な音楽性にある
つくづく思うのは、歌謡史、ロック史、Jポップ史は、歌詞で語られがちだということだ。 一方で音楽性、それも音楽理論に関係するあれこれは語られにくい。理屈っぽいし、専門的だし、理解されにくいのだ…
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見事な録音も加勢したから「氷の世界」は売れまくった
とにかく売れた。売れまくった。 井上陽水のアルバム「氷の世界」(1973年)のことだ。 何といっても日本初のミリオンセラーアルバムである。90年代に入って、いわゆる「CDバブル」に乗…
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デビューアルバム「断絶」ヒットの理由は、若者の「敗北感」だけではない
「GREAT3」、2人目は井上陽水。 吉田拓郎とは違う意味で1970年代前半、時代の寵児だった。違う意味──違う価値観というか、違う宇宙というか。 この時期の井上陽水といえば、何といっ…
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吉田拓郎の功績は「歌声」だけではない イノベーションの数々も別格なのだ
前回書いたのは、武田鉄矢が「彼の歌声には若者の血をたぎらすアルコールが混じっている」と評した、初期吉田拓郎の世の中的インパクト話だった。 しかし、吉田拓郎の歌声を聴いて、血がたぎった当時の若…
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若者の血をたぎらす、吉田拓郎の歌声のアルコール濃度の高さ
「彼の歌声には若者の血をたぎらすアルコールが混じっている」 石田伸也「吉田拓郎疾風伝」(徳間書店)にあった武田鉄矢の言葉だ。「彼」とはもちろん吉田拓郎。当時の「彼」のすごみを表した最高の言葉だ…
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ニューミュージックとは「戦後生まれ世代による自作自演音楽」のムーブメントだ
前回はタイトルにある「1975」の話をしたので、今回は「ニューミュージック」の概論を語っておきたい。 「そのときニューミュージックが生まれた」の「ニューミュージック」って何じゃらほい、という話…
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今にも通じる重苦しい時代にヒットした音楽だからこそ、振り返る意味も価値もある
拓郎、陽水、ユーミンという「GREAT3」が君臨し、達郎、浜省、みゆき、永ちゃんという「BIG4」がデビューした1975年。音楽シーンを取り巻く時代全体は、どんな雰囲気だったのか。 私の小3…
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「GREAT3」に続けと、達郎・浜省・みゆき・永ちゃんという「BIG4」が次々デビュー
新連載が始まります。題して「1975~そのときニューミュージックが生まれた」。 音楽評論家のスージー鈴木と申します。日刊ゲンダイでは、今年の4月の頭まで「沢田研二の音楽1980-1985」と…
