こころの本屋(豊島区・東長崎)「自分の盛大な積ん読本というか『読みたい』と思った本を仕入れています」
昔ながらの商店と新しいカフェなどが混在する駅前を抜けるとすぐ。店頭のウッドデッキに置いた、「本」の文字をかたどった手作り造形物がウエルカムボードだ。靴を脱いで窓ガラスを開け、こんにちは──。
本好きのお友だちのアパートの一室に来たような気がしてニンマリしつつ、500冊くらいと目算。6畳の新刊書店だ。
真っ先に東畑開人「雨の日の心理学」、河合隼雄「こころの処方箋」が、続いて「正しさは伝わらない、楽しさはうつる」「他人がこわい」「性格ってなんだろう?」、さらに医学書院の「ケアをひらく」シリーズが目に入る。
「私、積ん読が多くて。置いているのは、自分の盛大な積ん読本というか、『読みたい』と思った本を仕入れている“週末本屋”です。多いのは、モヤモヤしたときに読んでほしい本でしょうか」
店主・石川理恵さんは雑誌「暮しの手帖」などに原稿を寄せるライター・編集者だ。この店は、2023年、ホームグラウンドに開いたという。つまりセカンドワークだ。なぜ?
「幼なじみに本屋さんの子がいて、うらやましかったこと、子育て中にピアカウンセリングに参加したこと、40代で大学に編入して心理学を勉強したこと……。いろいろなことの掛け合わせです」
アパートの一室に心理学を中心とした週末本屋
平台の隅に石川さんの著書「大人になって心理学を学んだら 子育てが楽になり、週末本屋を開いた」を発見。
それにしても「こころの本屋」って、いい名前! 心理学を中心に据える中、本屋・図書館の本も社会問題につながる本も散見し、「こころの本」の範囲は広いようだ。
SNSで知った客が、遠くからもやってくるそうで、「近頃の人は本を読まないというのはウソ(笑)。属性さまざまの“本読み”が多いことが、本屋をやったうれしい驚きでした」。
ぶしつけにも「売り上げ立ってます?」と私。「(本屋運営の労力は)自分用に買う1カ月の本代と、等価交換している感じです」と石川さん。
店内にある大きな木製机を囲み、本屋を開けない週末に石川さんならではのワークショップを開催している。内容は「自分史や暮らしの記録をつづってZINEを作る」と「人にインタビューする」。3年間の参加者が150人を超えたというのもすごい。
◆豊島区長崎4-27-4 弐番館101/西武池袋線東長崎駅北口から徒歩3分/10月は9、10、11日午後1~6時に営業(通常は隔週金・土・日曜に不定期営業、インスタで確認を)
ウチの推し本
「野の医者は笑う 心の治療とは何か?」東畑開人著
「私自身、社会常識や社会規範というものは、時代によって違うということ、『信じるとは何か』に興味があったことから夢中で読んだ本です。若き臨床心理士だった著者は京大の博士号を取得したあと、沖縄の現場に入って話を聞き、フィールドワークをした記録。『野の医者』とは、民間療法を行うヒーラーたち。宗教者やシャーマンの存在も踏まえ『心の治療とは何か』を問うんです」
(文春文庫 1100円)
■本コラム待望の書籍化!「本屋百景 独立系書籍をめぐりめぐる」好評発売中!



















