花森書林(神戸・元町)「“ザックバランな古本屋”ぶりは、姉のときと変わっていないと思います」
おもちゃ箱をひっくり返したみたい。と、一歩踏み入れて心躍った。切子グラス、麻のバッグ、レトロな状差しなど雑貨がいっぱい。1970年の大阪万博記念グッズなど私を手招きしている。推定約15坪。絵本、新書、文庫本、単行本、レコード、CD、写真集、アート本もわちゃわちゃと8000冊ほど。
「“ザックバランな古本屋”ぶりは、姉のときと変わっていないと思います」
と、店主の頓花(とんか)慎太郎さん(43)。
「姉のとき」が指すのは、2005年から18年までトアウエストというエリアにあった「トンカ書店」の時代のこと。名字を店名に、4つ上の姉、恵さんが“ザックバランな古本屋”をテーマとして営み、人気を博したのだった。ところが、入居していたビルの老朽化で閉店。19年、頓花の「花」と恵さんの結婚後の姓・森本の「森」をとって「花森書林」の名で、移転・開店したのがこの店なのだ。
その前年からサポートに入った頓花さんが今、店主なのは、恵さんが23年に亡くなったから。「生きている人の気持ちが一番大事だから、『私(恵さん)のために継ぐ』はやめて」と、恵さんに言われたという。いやいや、頓花さんは元タウン誌製作業。本も雑貨もわちゃわちゃも本意。この生業との相性、良すぎるほど良かったもよう。
「ジャンルを決めないようにしていますね」
店内で私が手を出した本を列挙すると「暗殺者の回想」「定年後」「八木重吉詩集」「江戸の性風俗」なのだが、「ジャンルを決めないようにしていますね。何が入ってくるか分からないから」と。
本も雑貨も「この店、面白い」と思っていそうなお客からの買い取りが9割。
「ホラーの本とグロテスクな人形とか、車の本とチョロQやトミカとか。そういう“合わせ技一本”みたいにお持ちになる方が多いのは、うちならではかも」
「最近買い取った」と「Drスランプ」の初版シリーズを揚々と見せてくれたり、「70歳の男性が、小学生のときに仮面ライダーの顔を自分で描いたお皿を持ってきたので、買って並べたらすぐに3000円で売れた」と愉快そうに話してくれたり。新本が並んだ棚では、「『本は人生のおやつです!!(古書店)』さんの力作」と「文士が、好きだーっ!!」、「あのますく堂(同)さんの日常が見える本」と「なまけもの雑記」、「大阪の新しい小出版『つむぐ舎』が版元」と防災絵本「また、かえりみちがわからなくなった。」を満面の笑みで開いてくれた。
店内で、21日まで写真家・永田收さんが、かつて恵さんの案内で回って撮った写真展「思い出の古本屋」が開かれている。
◆神戸市中央区元町通3-16-4/JR神戸線元町駅から徒歩5分/℡078-333-4720/午後1~7時、火・水曜休み
ウチの推し本
「みちくさKOBE ぶらり歩いてみませんか?」潮崎孝代著 自費出版新本 売価 2200円
「著者は観光案内所『神戸市総合インフォメーションセンター』に40年以上勤めてきた人で、姉とすごく仲が良かったんです。この本は、神戸市内の名所をガイドしつつ、歴史や人々の暮らしなど、神戸の奥深さを独特の筆致で紹介しています。売っているのは、著者の意向で実はウチだけ。大手書店に買いに行く人が多いようで、そこの書店員から『花森書林を案内したので、今から行かれますよ』と連絡が来る(笑)」
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