『ミズリー』“5人目”のメンバーが施したキラキラ音質
『ミズリー』
アルバム『プリーズ・プリーズ・ミー』の2曲目。タイトルはビートルズを聴き始めてから覚えた単語。前回紹介した『アスク・ミー・ホワイ』にも出てきて、当時一体どんな意味かと思ったのだ。アメリカ「ミズーリ州」なども想像しながら。
そして英和辞書で「ミズリー」が「みじめ」という意味を知ったときの驚きたるや。中学時代の物好きの友人と「♪ザ・ワールド・イズ・トリーティング・ミー・バッド・みーじめ」と歌ったものだった。
印象的なのは再生時間「0:44」他に出てくるキラキラとしたピアノの音。プロデューサーであり、何人かいる「5人目のビートルズ」の筆頭的存在=ジョージ・マーティンが、テープの回転速度を半分に落として録音して、その倍速で再生したという。すると、ちょうど1オクターブ上がって、こういうキラキラした音質になる。この倍速再生テクニックを使って、のちにご紹介する名曲『イン・マイ・ライフ』の速弾きピアノも録音された。
驚くのは、このテクニックを、ビートルズとほぼ同時期に使って大ヒットを飛ばした日本人がいたこと。そうザ・フォーク・クルセダーズ『帰って来たヨッパライ』の変な声は、まさにこのテクニックの産物。
■『アンナ(ゴー・トゥ・ヒム)』
こちらアルバム3曲目。「♪ゴー・ウィズ・ヒム」と歌われるが、サブタイトルは「ウィズ」ではなく「トゥ」。間違えやすい。
ドラムスのパターンは、リンゴお得意のもの。そしてこのドラムスも名曲『イン・マイ・ライフ』に行き着く。
中間部「0:57」からのジョンの声がとにかく素晴らしい。音楽家トータルとしてはともかく、ボーカリストとしてのジョンは絶対に初期に限る。あ、個人の意見です。
■『チェインズ』
アルバム4曲目。収録曲順まで含めて考えれば、記念すべきジョージの初リードボーカル作品。これもカバーで、ヒット曲量産作家だった、キャロル・キング(とジェリー・ゴフィン)の手によるもの。
とはいいながら、ジョージのボーカルとなると、ジョンとポールが後ろからしゃしゃり出てくるのが初期ビートルズあるある(歌い出し参照)。
約8年後、ジョージとキャロル・キングはそれぞれ『オール・シングス・マスト・パス』(70年)と『つづれおり』(71年)という傑作アルバムでチャートを賑わせる。
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