元関脇嘉風・中村親方〈5〉白髪もめちゃくちゃ増えたし、ストレスで寝られない日もある
NHKで大相撲中継の実況を長く務め、通称「しまなみ親方」として知られる吉田賢アナウンサーが、日本相撲協会の親方と対談する本企画。第1弾は2024年6月に独立した元関脇嘉風の中村親方。最終回は師匠への思い、今後の展望などを聞いた(※対談の実際の様子は日刊ゲンダイ公式YouTubeチャンネルの「しまなみ親方の大相撲日刊ゲンダイ場所」から視聴できます)。
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中村親方(以下、中村)師匠(先代尾車親方、元大関琴風)に褒めてもらうのは本当にうれしかったんです。ある時、僕が取組中に横綱に張り手をしたんです。僕は緊張のあまり記憶にないんですが、部屋に帰ったら「おまえ、今日は銭の取れる相撲を取ったな。おまえの相撲を見るだけで、お客さんはもう元を取ったよ」って褒め言葉をいただいた。何か、体の芯から震えるような喜びがありました。
吉田アナ(以下、吉田)うんうん。
中村 親方はこうも言っていたんです。「何回優勝しても覚えてもらえない力士はいっぱいいる。記録じゃなくて記憶に残る力士にならなきゃダメだ。見ている人の記憶に残ってこそだから。それがプロなんだ」って。これはずっと自分の頭にありました。僕は弱気になると、楽な方に逃げてしまう性格なんです。それでも自分自身を鼓舞するたくさんの材料の中に、親方の言葉や関わりが大きく影響しているのかな、と。だからこそ、自分が部屋を持ったらそういう師匠になりたい、と思っていた。本当に一生超えられない目標ですね。
吉田 師匠となった現在、伝えていきたい師の教えはどのようなものがありますか?
中村 何だろう……。人の在り方、ですかね。
吉田 力士としてよりも、その前に人である、と。
中村 僕はこれまで、いろいろな場面で人に助けてもらいましたから。(大相撲では)師匠と弟子は親子関係を築くわけですが、それってすごく難しいことなんですよ。本当の親子じゃありませんから。だけど師匠はまるで本当の父親のように、何かあったら助けてくれる。僕自身、甘えたつもりはありませんでしたが、僕も未完成なので頼る部分もあった。その中で、師匠は「人の上に立つ人は、こういうふうに振る舞うんだ」というものを見せてくれた。
吉田 そうですね。
中村 僕は入門してから引退するまでの15年、尾車親方の下で相撲をやった。人の上に立って信頼される人は背中で見せるんだ、ということを教わりました。だから僕も背中で指導していきたいんです。相撲が強い弱い、番付が上か下かとは関係なく、生き方を教えていきたい。僕もまだまだ未熟でそこまで至ってないですけど、尾車親方から学んだものは伝えていきたいんです。


















