元関脇嘉風・中村親方〈1〉なぜ「朝稽古をしない」のか? 角界の常識から“あえて外れる”部屋づくり
NHKで大相撲中継の実況を長く務め、通称「しまなみ親方」として知られる吉田賢アナウンサーが、日本相撲協会の親方と対談する本企画。第1弾は2024年6月に独立した元関脇嘉風の中村親方と、がっぷり四つに組み合った。
◇ ◇ ◇
吉田アナ(以下、吉田) 中村部屋ができて2年あまり経ちましたが、振り返ってどうでしょう。中村親方(以下、中村) 難しい質問ですが……生き甲斐とやり甲斐を感じています。すごく充実した2年だったなと。
吉田 2年は早かったですね。
中村 そうですね。あっという間です。
吉田 中村部屋といいますと親方がいろいろなことを考えて、いわゆる相撲界の常識にとらわれず、良いものはどんどん取り入れていこう、と。一番驚いたのが、朝稽古をしないということですが、このあたりは?
中村 ひとつ修正させていただくと、「常識にとらわれない」までは合っています。でも「良いものを取り入れる」ではなく、「これはどうなんだろうか」というものを取り入れてるんです。「良いもの」と言ってしまうと、「じゃあ元々あったことは悪いのか」と揚げ足を取られかねない。そういう捉え方はすごく嫌なんです。自分も相撲界の常識で育ってきて、相撲界の常識で今がありますからね。ただ、そこから少し外れた、常識とは違うことを取り入れてみようという発想です。僕は現役時代、30歳を越えてから本当に相撲が楽しくなって「早く本場所の土俵に上がりたい」と思うようになった時、一番大事なのは体づくりだな、と改めて考えた。例えば、筋肉は体に十分な栄養を取り入れた状態が、最も機能を発揮することも知りました。では、体に栄養を行き渡らせてから稽古をしたらどうなんだろう、と。
吉田 今は特製ドリンクのようなものを飲んでから、午前のトレーニングを行っています。
中村 プロテインやオートミール、ナッツやベリーを入れてミキサーにかけたもので、自分はスムージーと呼んでいます。
吉田 確か、最初は朝食をもう少し食べてましたよね。
中村 以前は食事をちゃんと作っていましたが、みんなで作って後片付けもするので、非常にコスパが悪いというか……。
吉田 タイパも悪い。
中村 そうですね。力士の負担になってしまうので、今はスムージーで手っ取り早く栄養補給をしています。


















