元関脇嘉風・中村親方〈5〉白髪もめちゃくちゃ増えたし、ストレスで寝られない日もある
結果でしか認められない世界
吉田 師匠になってまだ2年あまりですからね。でも、2年の間に友風が再入幕し、嘉陽、宮乃風という2人の関取が誕生。その意味では十分に成果を上げています。
中村 ありがとうございます。でも、本人たちの努力ですからね。僕の成果じゃありません。昇進会見とかで「よく頑張って成果を出した」と必ず言いますけど、(大相撲は)結果でしか認められませんからね。番付でしか認められない世界で結果を出したのは、本人の努力の成果なんです。中には「運がよかった」と言う人もいるかもしれませんが、だとしても結果を出したのは事実。決して僕の指導や、やり方が良かったわけではないし、そんなことは思ったこともない。
吉田 だとしても、「この環境を整えてあげた」ということは大きな要因だったのでは。
中村 それは本人たちが言うことですね。弟子全員を関取にして初めて「環境を整え、完成させた」と思っていますから。まだまだ正解ではありません。ただ、「本人たちの頑張るきっかけになればいい」くらいの感じですね。
吉田 しかし、そうすると中村部屋はこれからもさまざまなことを取り入れて、どんどん変わっていく可能性もあると?
中村 変わっていく可能性しかないですね。それこそ1周回って、相撲界の常識的な生活スタイルに戻っているかもしれない。ただ、絶対にブレちゃいけないのが「弟子を強くする」「預かった力士を全員関取にする」という思いです。そのために日々試行錯誤を重ねることも、一貫していなきゃいけない。僕はむしろ、そういうのが好きなんですよね。生きている感じがする。白髪もめちゃくちゃ増えたし、ストレスで寝られない日もある。正直大変ですよ。自分が相撲を取る方が何十倍も楽ですから。
吉田 でも、それに見合うだけの喜びも弟子たちが与えてくれる。
中村 自分が同じことをやっても、「こんなにうれしいかな」というくらい、弟子の昇進や勝利はうれしいですね。だから、今はいろいろな刺激、いろいろな経験をさせてもらって、生きがいを感じています。
吉田 改めて今後の目標をお聞かせください。
中村 弟子全員が「ウチの部屋に入ったら、全員めちゃくちゃ強くなれるよ」っていう口コミを広げてくれるのが、一つの目標ですよね。後は引退した力士、第二の人生に進んだ子が、いつでもこの部屋に帰ってきやすい環境をつくりたい。そのためには普段から関係性を築くこと。その中で横綱や大関、優勝力士を育てたいですね。 (おわり)
=次回からは元大関貴景勝の湊川親方、来週土曜発売号掲載
(構成=日刊ゲンダイ編集部)
▽中村雅継(なかむら・まさつぐ)本名は大西雅継。1982年、大分県佐伯市出身。2004年に尾車部屋に入門し、同年1月場所が初土俵。05年新十両、06年新入幕。19年に引退するまで、長く幕内の土俵を務めた。現役通算94場所で、649勝642敗30休。三賞10回、金星8個。最高位は関脇。



















