没後100年ドラマ「夏目漱石の妻」を見て〈作家・夏目漱石〉と〈俳優・長谷川博己〉の姿が重なって見えた
今からちょうど10年前、2016年9月に放送されたのが、NHK土曜ドラマ「夏目漱石の妻」だ。漱石が亡くなったのは1916(大正5)年のこと。この年は没後100年に当たっていた。本作はタイトル通り、漱石の妻・鏡子を軸にして描く夫婦物語だった。
裕福な家庭に育った19歳の中根鏡子は、夏目金之助(漱石)と見合い結婚をする。金之助が旧制高校の英語教師として赴任した熊本で新婚生活がスタートした。
幼少時に養子に出された金之助は、家庭の温もりを知らない気難しい男だ。鏡子は流産した上に孤独を募らせ、不安定な精神状態のまま入水自殺を図ってしまう。さらにイギリス留学から帰国した金之助も、暴力を振るうようになっていく。
この漱石を演じたのは長谷川博己だ。前年は「デート~恋とはどんなものかしら~」(フジテレビ系)に出演していた。杏が主演の恋愛ドラマだ。脚本は、長谷川の主演作「鈴木先生」(テレビ東京系、11年)を手がけた古沢良太だった。
35歳になってもニートで、一度も働いた経験がないくせに、自分を「高等遊民」と言い張るダメ男というのが役どころ。何を考えているのか、本心がどこにあるのか、ちょっと捉えどころがない人物だ。こういう役でも見る側を引き込むあたり、ただものではない。


















