復活優勝でも見え隠れする大の里の課題 幕内上位陣のわずかなズレで予期せぬ展開になった9月場所
■またしてもやってくれた藤ノ川
一方、あっぱれだったのが新三役の関脇藤ノ川。11勝で敢闘賞を受賞した。
毎回、いい意味で予想を裏切ってくれる。通例、関脇は終盤にかけて横綱大関戦が組まれる。ゆえに場所前は、「あの小さな体で、疲れが出る終盤に上位勢に立ち向かうのはきびしいだろう。ともかくも藤ノ川ならではの相撲を」と思っていたら、前半6日目に安青錦を破ると、後半戦で2大関を撃破、大関を総なめにしてしまう。千秋楽には、熱海富士に抱えられ土俵際まで持っていかれたものの、すくい投げで逆転勝ち。まったく見事だ。
これで早(はや)、大関昇進の起点を作った。このまま星を積み上げることができるか。そしてなんと、その昇進のあかつきには、所属する伊勢ノ海部屋の偉大なるあのしこ名、「柏戸」の襲名も--という声までうっすら聞こえてくる。夢は膨らむ。
■県勢初の三役誕生へ
沖縄出身の美ノ海(前頭3)が10番勝つ奮闘ぶり。藤ノ川とともに敢闘賞を獲得した。
県勢初の三役昇進が濃厚だ。47都道府県で唯一、三役力士を出していなかった沖縄の相撲ファンに、待ちに待った朗報がまもなく届きそう。
もともと相撲はうまかった。立ち合いからの前さばきが巧みで、左でさっとまわしを取ったり、土俵際では回り込んだり。
そのうえ、この場所は体重が増えて、相撲に重みが加わった。下から押し上げながら前に出る相撲が目立った。今回のしまなみ親方賞としたい。
もう一つ。「鉄人」玉鷲が帰ってくる! 十両3枚目で10勝して、返り入幕が確実だ。来場所中には42歳に。ある親方は、「鉄人の域を超えて、角界の奇跡だ」と感嘆する。さて幕内でどんな相撲を見せてくれるか。
秋場所は1年ぶりの「横綱の優勝」で終えた。やはり横綱が強いと場所が締まる。下から誰が突き上げていくか、興味もより湧いてくる。さて来月は一年納めの九州場所。相撲ファンの皆さま、また一緒に楽しみましょう。それまでごきげんよう。
(構成=山家圭)



















