元関脇嘉風・中村親方〈3〉「稽古は嫌い。それでも土俵で得られる快感のために受け入れていました」
NHKで大相撲中継の実況を長く務め、通称「しまなみ親方」として知られる吉田賢アナウンサーが、日本相撲協会の親方と対談する本企画。第1弾は2024年6月に独立した元関脇嘉風の中村親方。現役時代、関脇まで昇進しながら新たな稽古法を模索する中村親方が立てた「仮説」とは何か(※対談の実際の様子は日刊ゲンダイ公式YouTubeチャンネルの「しまなみ親方の大相撲日刊ゲンダイ場所」から視聴できます)。
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中村親方(以下、中村) 1つのモデルとして、「相撲界の常識」が確固たるものであることは間違いない。なぜならこのやり方で多くの横綱、大関が誕生しているからです。このやり方で地位を築いた親方が(現在だけでも)105人いる。だから、「相撲界の常識」は絶対に間違えてはいない。その一方で「別のやり方なら横綱になっていた力士もいたんじゃないか?」と仮説を立てたんです。
吉田 1つのやり方ですよね。1つのある種、正しい……正しいという言葉はまた違うかもしれないけど。
中村 相撲界の常識が「大きな正しいやり方」であることはその通りなんです。
吉田 ただ、そうじゃないやり方が合う力士も大勢いるんじゃないか、と。全員が横綱になっているわけではありませんからね。
中村 だから、どれが当てはまるかわからない。(この対談の)最初に言いましたけど、厳しく指導して強くなる人、ニンジンをぶら下げた方がいい力士、鼓舞して強くなる人もいる。人それぞれなので、普段から力士との対話を大事にしています。普段の生活からいろいろなところに目を配って、コミュニケーションを取るようにしています。
吉田 親方は現役時代、30歳を越えてから(相撲が)楽しくなったと話していましたが、現役の頃からさまざまな疑問を持ちながらやってましたよね。改めて、独立してから2年あまりの手応えは?
中村 手応え……。
吉田 「これでいいんだ」というものは?
中村 ないですよ。私だけではなく、105人の親方が力士を強くすることを念頭に指導している。それが相撲界発展の柱ですから。僕は試行錯誤中ですが、(稽古だけではなく)環境づくりにも重きを置いています。例えば力士が「疲れた」「もう疲労困憊です」なんて、昔は言えなかったと思います。でも、ウチの部屋は疲労困憊ならば、「明日の午前中は休みにして、その代わりに午後頑張ろうな」というやり方。
吉田 そういえば酸素ボックスも導入しましたよね。酸素カプセルじゃなくて。そうした話をうかがっていると、「とにかく体なんだ」というのがビンビン伝わってきます。


















