芳根京子「べっぴんさん」はNHK朝ドラ〈ヒットの法則〉を実践していた
本作では、主人公の坂東すみれを1925(大正14)年生まれとしている。モデルの坂野は18(大正7)年の生まれであり、7歳若くしているわけだ。それは、この年の生まれとすることで、年齢と昭和の年号を重ねたかったからだろう。
また実際の坂野の母親は長寿だったようだが、ドラマのすみれは母(菅野美穂)を9歳で失うことになる。これは、早くに父を亡くした「とと姉ちゃん」に準じた設定であり、視聴者にヒロインを応援してもらうための一策となっていた。
さらに前作「とと姉ちゃん」では、第1週は子役の内田未来が受け持ち、高畑充希の登板は第2週からだった。しかし「べっぴんさん」は、第1週の終わりに早くも17歳の女学生になった芳根京子が現れた。主演女優の前倒しの登場だった。
当時、視聴者のドラマに対する“取捨選択”の判断は以前よりも短期間に行われるようになっていた。そこで主な登場人物たちを早めに披露して、見る側の関心を集める必要があったのだ。ドラマ全体が、「あさが来た」や「とと姉ちゃん」のいいとこ取りを狙った感があり、半年付き合うに値する期待感を高めるスタートになっていた。
先週から、朝ドラの新作「ブラッサム」が始まった。実在の作家・宇野千代をモデルとしており、ヒットの法則も踏まえている。とはいえ、朝ドラという枠組みの中で、自由奔放な生き方で知られる宇野千代にどこまで迫れるのか、見ものだ。
(メディア文化評論家)



















