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碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

芳根京子「べっぴんさん」はNHK朝ドラ〈ヒットの法則〉を実践していた

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 本作では、主人公の坂東すみれを1925(大正14)年生まれとしている。モデルの坂野は18(大正7)年の生まれであり、7歳若くしているわけだ。それは、この年の生まれとすることで、年齢と昭和の年号を重ねたかったからだろう。

 また実際の坂野の母親は長寿だったようだが、ドラマのすみれは母(菅野美穂)を9歳で失うことになる。これは、早くに父を亡くした「とと姉ちゃん」に準じた設定であり、視聴者にヒロインを応援してもらうための一策となっていた。

 さらに前作「とと姉ちゃん」では、第1週は子役の内田未来が受け持ち、高畑充希の登板は第2週からだった。しかし「べっぴんさん」は、第1週の終わりに早くも17歳の女学生になった芳根京子が現れた。主演女優の前倒しの登場だった。

 当時、視聴者のドラマに対する“取捨選択”の判断は以前よりも短期間に行われるようになっていた。そこで主な登場人物たちを早めに披露して、見る側の関心を集める必要があったのだ。ドラマ全体が、「あさが来た」や「とと姉ちゃん」のいいとこ取りを狙った感があり、半年付き合うに値する期待感を高めるスタートになっていた。

 先週から、朝ドラの新作「ブラッサム」が始まった。実在の作家・宇野千代をモデルとしており、ヒットの法則も踏まえている。とはいえ、朝ドラという枠組みの中で、自由奔放な生き方で知られる宇野千代にどこまで迫れるのか、見ものだ。

 (メディア文化評論家)

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