高齢者と若者が暮らすノビシロハウス「暮らしそのものが孤立を防ぐインフラになっています」
「断らない」がポリシーだったが…
鮎川さんのポリシーは「どんな人も断らない」こと。風俗嬢、シングルマザー、刑期を終えた受刑者、外国籍、困窮者、戸籍のない人などなど。広告を一切打たず紹介と口コミで広がり、やがて鮎川さんを頼ってくる人たちが増えていった。
「ところが、初めて断ってしまったお客さんがいたんです」
10年ほど前、高齢男性が都内で家賃15万円の1LDKを探していた。資産も支払い能力もあるのに、家主のオーナーらはこぞって「認知症や孤独死というリスクがある」という理由で断ってきたという。賃貸住宅で孤独死になると原状回復に数十万円はかかり、資産価値も下がる。さらに警察対応が生じるからだ。
鮎川さんはショックを受けると同時に、高齢者が置かれている現状を知ることになる。
「高齢者の孤独死が起きないこと、そして死後発見が早くなる仕組みづくりが必要だと考えるようになりました。高齢者にとって居心地がいいと思える住宅とは何かという答えを求めて介護の専門家や医師を訪ね歩いた。その思いが『ノビシロハウス』誕生の原動力となりました」
高齢者のついのすみかを想定したノビシロハウスだが、そこでは「介護はしない」という線引きがある。要介護になればケアマネを紹介する。通院することがしんどくなれば、訪問診療に切り替えてもらうなど、外部スタッフに任せる。また病院にもつきそっていく。
「それはまるで終活サポート・ビジネスのようですが、暮らしていただく中で信頼関係を築くことができ、そういった福祉へのおつなぎもさせていただけるようになっているのだと思います」
亀井野の1号棟が好評で、来年3月にも東京都東久留米市に2号棟のオープンが予定されている。こちらは5階建て31室のマンション型。「高齢だとお金があっても家が借りられない」という課題解決の糸口となるか。


















