著者のコラム一覧
若月澪子ルポライター

1975年生まれ。ジャーナスリト。大学卒業後、NHK高知放送局・NHK首都圏放送センターで有期雇用のキャスター、ディレクターとしてローカル放送の番組制作に携わる。結婚退職後に自殺予防団体の電話相談ボランティアを経験。育児のかたわらウェブライターとして借金苦や終活に関する取材・執筆を行う。生涯非正規労働者。ギグワーカーとしていろんな仕事を体験中。

「墓じまい」に悩むシニア 費用や遺骨の始末より問題になる「家族の愛憎問題」

公開日: 更新日:

【第8回・後編】墓の維持費が払えないIさんの場合

「人生100年時代のロールモデルがいない」――退職後のサラリーマンが迷走している。キャリア、居場所はリセットされ、年金不安時代は資産形成も「自己責任」。「人手不足」の号令の下、今日もシニアは働き続ける。『副業おじさん』『過労シニア』のルポライター・若月澪子が、奮闘し続ける令和シニアの素顔を追う。

  ◇  ◇  ◇

(前編からのつづき)

 めったに顔を合わせない家族や親戚が、お盆に集まりお墓参りをして先祖の供養をする。昔から続いてきた光景が、少子高齢化や核家族化で形を変えつつある。

 今、先祖代々の墓をどうするかが、切実な課題になっている家庭は多い。「墓が遠い田舎にあり、供養ができない」「墓を継ぐ子どもがいない」「お寺にお布施を払う余裕がない」抱える事情は家庭によって異なるが、こうした中で「墓じまい」が選択肢の一つになっている。

 派遣労働者として働く都内在住のIさん(66)は、両親の眠る墓のことで頭を悩ませていた。

「俺は金がないから、父ちゃんと母ちゃんが入っている墓の維持費の年間2万円はキツい。墓じまいっていうのは初めて知ったけど、それも金がかかるんだよね?」

 年金月9万円程度を受給しながら、最低賃金で働くIさんは独身。実の姉や親戚とは疎遠で、墓のことは誰にも相談ができない。しかし、墓を維持したところで、Iさんが独身のまま亡くなれば、Iさんの両親の墓を誰が管理するのか。そもそも、Iさんを誰が墓に葬るのか……。

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