監督に何より求められるのはコミュニケーションだ

昨年ワールドシリーズ初制覇を果たした（左端がヒンチ監督）／（Ｃ）日刊ゲンダイ

「そんなものは頭のいい人たちがコンピューターに向かって一日中、考えているものさ」

　そう言って一笑に付す選手も少なくない。

■数学者に物理学者

　数字やデータはあくまでサポートのためのツールに過ぎないが、それでも試しに使ってみたらどうだい？　と、選手たちに簡単に説明するコミュニケーション能力こそが、今の監督に一番求められるものだ。メキシコ生まれ、メキシコ育ちでスペイン語が流暢なルーノウＧＭも、「私自身、スペイン語がわかり、中南米の選手、特にまだ若く教育も不十分な状態でこの世界に入ってくる選手たちとコミュニケーションを取れる点は、大きなアドバンテージになっています」と言う。

　データ野球全盛の時代、チームの形、意思、方向性を決定するのはベースボールオペレーションといわれるフロント内部の組織である。

　チームによってその構成と力関係に違いはあるものの、ほとんどのチームではこの部門のトップがＧＭ（ゼネラルマネジャー）といわれる役職である。アストロズのルーノウ、ヤンキースのキャッシュマン、大谷獲得の際に大きな手腕を発揮したエンゼルスのエプラー……。