中日次期監督に工藤公康氏が選ばれて、桑田真澄氏が落選したワケ…元SBコーチ「工藤野球」の正体明かす
思い切った人事ではある。
中日の来季新監督に元ソフトバンク監督の工藤公康氏(63)が就任するというのだ。
現役時代は29年間で224勝をマーク。西武、ダイエー、巨人でそれぞれリーグ優勝、日本一を経験し、優勝請負人といわれた同氏は、2015年にソフトバンク監督に就任すると、通算7年間で3度のリーグ優勝、5度の日本一を達成。勝ち方を熟知した指揮官が、6年連続でBクラスに低迷する中日再建を担う。
工藤氏は愛知県出身とはいえ、現役時代から一度も中日に在籍経験がない「完全外様」。中日では、1984年から86年途中まで指揮を執った山内一弘監督以来となる。加藤球団社長は「球団OBも候補に挙がった」としたうえで「今のチームに何が必要かということを考えたときに、外部から経験、知見があり、ドラゴンズに注入してくれる方が一番現状としてはいいだろうという判断になった」と説明した。
コーチ経験のある球団OBがこう言う。
「球団は当初、巨人OBの桑田真澄さんを最有力候補として動いたものの、双方で条件が一致しなかったと聞きました。宿敵球団の元エースで、中日や中部地区との縁がないことも障壁になった。片や工藤さんは戦力が豊富だった常勝ソフトバンクで結果を残した一方、若い選手を育て上げることで、強いチームをつくることに関心があった。名古屋電気高(現・愛工大名電高)から西武に入団した工藤さんは、当時の広岡達朗監督の薫陶を受けている。広岡監督は『弱いチームを強くする』ことを信条としてきましたからね」
では、「工藤監督」はどんな野球をやるのか。
そのヒントを明かすのが、15年から19年までの5年間、ソフトバンクで工藤監督の下、一軍外野守備走塁コーチなどを歴任した元ヤクルトの飯田哲也氏だ。
「工藤さんは『まずは走り込んで体力をつけろ』という考え方の人なんです。トレーニングがめっちゃ厳しいんですよ。キャンプは若手には相当こたえるんじゃないかと思います」
実際、工藤氏はソフトバンク監督時代は基礎体力の強化を徹底した。たとえば16年秋季キャンプでは、1人が70メートル走を10本ずつ6セット、計4200メートルを走る過酷なメニューを実施。キャンプ総括で「走るというのはすべてのスポーツにおいて基本となります」と強調。ケアの部分にも細心の注意を払いつつ、苦しい練習に耐えることが肉体的、精神的な成長につながるとの持論を展開した。
飯田氏もこう証言する。
「工藤さんなりの哲学があるので、たとえば投手だと投げることよりもまず基礎体力をつけようと。そこから始まるんで相当きついと思う。今の時代、厳しくできない雰囲気がありますけど、工藤さんならやってくれると思います」
中日の高橋宏斗や金丸夢斗ら若手投手についても「良くなると思います」と期待を寄せる。
工藤野球の厳しさは肉体面だけではない。アタマの面でも鍛えられそうだ。ソフトバンクでは当時の正捕手だった甲斐拓也(現巨人)が試合後、工藤監督とともに試合映像を見ながら配球を細かく検証していたという。
「この時の配球は間違いだから、これを選べたら良かったんじゃないかとか、そういうミーティングをずっとしてました。甲斐も次の日、朝早く来て、ビデオをもう一回見直していた。キャッチャーは大変かもしれないですね」(同)


















