ホッピー3代目・石渡美奈社長を直撃 クラフトビール加えた総合飲料メーカーの今後、“3つの車輪”で目指す未来
「ホッピー」は変化を押しつけず、飲み手に委ねる
入社すると、刷新を急いだ。ウェブを中心に「本物」の製法や低糖質、低カロリー、プリン体ゼロという価値を発信。世の中の健康志向の流れもあって、売上高はどん底だった2001年の8億円から10年には39億円へV字回復した。
「若かったからできたんでしょうね。商品、会社、流通を未来へ向けて変える。全部一度にやっていました」
変えるとは、過去を塗り潰すことではない。守る芯を現代に通じる形で伝え直すこと。その教訓を抱え、2010年、3代目を継いだ。
変化を押しつけず、飲み手に委ねる。その象徴が、焼酎の「ナカ」をホッピーの「ソト」で好みの濃さに割る酒場の定番スタイルだ。この飲み方は、実は会社が仕掛けた方法ではなく、ファンが自然発生的に見つけ、育てた文化だという。
では、本来の味を最大限に引き出すには? 同社が推すのは、ホッピー、25度の甲類焼酎、ジョッキをすべて冷やす「三冷」だ。凍らせたジョッキに焼酎、ホッピーの順で1対5で割る。氷は味と炭酸を薄めるため入れず、泡が立つよう勢いよく注ぐ。そこで自然に混ざるから、かき混ぜもしない。約5%の一杯が完成だ。
「ホッピーだけなら約0.8%。アルコールでも、ノンアルコールでもない、この微妙で繊細な世界がうまいんです。私たちは“0.8ワールド”と呼んでいます」
焼酎を加えずに飲むのも、ホッピーと黒ホッピーを半分ずつ注ぐのもいい。作り手が残した余白を、飲み手が完成させる。それがホッピーなのだ。


















