ホッピー3代目・石渡美奈社長を直撃 クラフトビール加えた総合飲料メーカーの今後、“3つの車輪”で目指す未来
0%新商品が高給割烹や寿司店にも採用
老舗となった今、何を変え、何を守るのか。羅針盤となったのは、和菓子の老舗「虎屋」17代当主・黒川光博氏の言葉だった。
「『未来は分からない。確実なのは今だけ。目の前の一分一秒、社是に従って正しい和菓子を作り続ければ、気づけば歴史になる』と。それで、100年先を偉そうに語るのはやめました」
本物の原材料、技術、人を守り、いま何ができるか。2026年、調布工場にドイツで同社仕様に組んだろ過設備を導入した。一度は工場の天井の低さに阻まれた機械だ。
「飲んだ瞬間、『これがホッピー?』というくらい、おいしくなりました。これは革命だね、と」
過去の記憶を残し、現代に通じる姿へ。その結晶が、7月発売の23年ぶりの新商品「HPY ホップウォーター」だ。独バルトハース社と、柑橘・ハーブ系、ウッディー系、両者をつなぐ3種のホップエキスをブレンドした。3層の香味が、アルコール0%でも「飲んだ気」を生む。
「飲まない日の酒の代わりではなく、飲めない人も飲食の場を堂々と楽しめるものが欲しかったんです」
酒を飲めない人も飲食の場を楽しめるようにと開発した商品だが、その可能性は想定を超えて広がる。従来のホッピーでは開かなかった高級割烹や寿司店にも採用され、ゴルフ場との商談も進む。ホッピーと同じように、店や客が新たな楽しみ方を見つけ始めたのだ。
「ビールの約5%、ホッピーの約0.8%、ホップウォーターの0%。3輪自転車の“車輪”が、ようやくそろった感じです」
作り手が本物を貫き、飲み手が育てる。3つの“車輪”は次代へ向けて走り出している。
▽石渡美奈(いしわたり・みな)1968年東京都生まれ。立教大学卒業後、日清製粉(現・日清製粉グループ本社)、広告代理店などを経て、1997年にホッピービバレッジ入社。2003年に副社長、2010年に3代目社長に就任。


















