山下達郎
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苦境脱出の賭けに出た野音に「壁にむかって」が響いた
愛奴の「失敗」(とあえて言う)は、プロデュースの不在ということに尽きると思う。 結果、バンドとしてのコンセプトが曖昧のまま、バラバラな音楽性、チグハグなアイデアが、一緒くたになってしまった。 このままではよくないと思...
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不発の要因は個性を打ち消すバンドの「民主主義性」にある
愛奴のシングル「二人の夏」は期待むなしく売れなかった。そして同日に発売されたアルバム「愛奴」もまた売れなかった。 と書いて、まずやっぱりバンド名(=タイトル名)「愛奴」がしんどいと思ってしまう。日本語で、漢字で他のバンド名と...
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ポップの本質からズレた、山下達郎の一連の発言への違和感
この4月に発売されたシュガー・ベイブ「SONGS」の50周年記念盤はCD2枚組で、ディスク2には、1994年5月に中野サンプラザで行われた「山下達郎シングス・シュガー・ベイブ・ライブ」の音源が収録されている。 そもそも私は、...
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アルバムの印象をふくよかにする大貫妙子の存在感
1994年に中野サンプラザで行われた「山下達郎シングス・シュガー・ベイブ・ライブ」のパンフレットが、私の寝室の本棚から発掘された。物は捨ててはいけない。これぞ「S(シュガー・ベイブ)DGs」だ。 山下達郎のワンマン・バンドと...
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超高音を難なく歌いあげる弱冠22歳の恐るべき埋蔵量
前回まで紹介したシングル「DOWN TOWN」と同日に発売されたのが、シュガー・ベイブ最初で最後のアルバムにして名盤の「SONGS」である。 今や、シュガー・ベイブといえば「DOWN TOWN」、「DOWN TOWN」といえ...
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気分が高揚する歌詞の秘密は「あかさたな」
2025年5月30日付東京新聞の伊藤銀次による短期連載「私の東京物語」で「DOWN TOWN」制作の経緯が細かく書かれていた。 ▼1975年、ザ・キングトーンズ結成15周年の曲を依頼された。 ▼サビの「DOWN TOWN...
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メジャーセブンスを駆使した、確実に「日本初」のシティーポップ
極めてベタに説明すれば「日本初のシティーポップ」である。 発売当初は売れなかったが、のちに山下達郎がメジャーになり、かつEPOによるカバー(1980年)が、フジテレビ系「オレたちひょうきん族」のエンディングに使われたことで、...
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「二十歳の魂72歳まで」山下達郎の魅力の核心は声そのもの
(前回までのあらすじ) アマチュア時代の山下達郎が作った自主制作盤を、伊藤銀次がロック喫茶で偶然聴いたーー。 今回も引き続き「伊藤銀次自伝MY LIFE, POP LIFE」(シンコーミュージック・エンタテイメント)か...
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100枚の自主制作盤に収められた19歳の恐ろしく美しい歌声
すでに何度か書いているように、山下達郎は1975年、シュガー・ベイブのメンバーとしてデビューする。しかし、今聴くことのできる、山下達郎最初の音源は、実は72年にまでさかのぼる。 「ADD SOME MUSIC TO YOUR ...
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手ごたえのない演奏を救ったのは山下達郎 弱冠22歳の雄叫びだった
この曲のアレンジャー・松任谷正隆は悩んでしまった。 ──たまにはレコーディングをやらせてほしい、と言われてね。僕はOKしたものの、演奏はティンパンのようにはいきません。リズムはできるだけシンプルにして、かなりこまかくサジェスチ...
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「キャロル」でのジョニー大倉の先見性とボーカルはもっと評価すべき
この連載では、1975年にデビューした山下達郎、浜田省吾、中島みゆき、矢沢永吉を「BIG4」としてくくるのだが、矢沢永吉の場合は「ソロデビュー」であり、バンド「キャロル」としては3年前にすでにデビューしているので、他の3人とは少々意...
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ニューミュージックとは「戦後生まれ世代による自作自演音楽」のムーブメントだ
前回はタイトルにある「1975」の話をしたので、今回は「ニューミュージック」の概論を語っておきたい。 「そのときニューミュージックが生まれた」の「ニューミュージック」って何じゃらほい、という話。 その答えは、この連載の...
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今にも通じる重苦しい時代にヒットした音楽だからこそ、振り返る意味も価値もある
拓郎、陽水、ユーミンという「GREAT3」が君臨し、達郎、浜省、みゆき、永ちゃんという「BIG4」がデビューした1975年。音楽シーンを取り巻く時代全体は、どんな雰囲気だったのか。 私の小3の頃の記憶をたどると、今=2025...
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気張らず淡々と高音域の頂上に登り詰めていく ベスト曲は「渚のラブレター」アルバムバージョン
アルバム「S/T/R/I/P/P/E/R」を代表する曲、いや80年代前半の沢田研二の金字塔となる1曲が、本アルバムに収録されているバージョンの「渚のラブレター」だと私は考える。 シングルバージョンは、アルバム「G.S.I L...
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デヴィ夫人は撤回し謝罪…ジャニー氏への「ご縁とご恩」を熱く語った山下達郎はどうする?
タレントのデヴィ夫人(83)が、とうとう自らの非を認め、謝罪した。7月18日、デヴィ夫人は自身のX(旧ツイッター)で、「非凡な才覚で何億何千万という人々を楽しませ、夢中にさせてきた」「被害を訴えている人々は国連まで巻き込んで、日本国...
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佐野元春は「言葉と音楽の理想的な関係」を探求する先頭に立ち続けている
昨年、初めて国産車を買った。初めての新車でもある。五木寛之さんの影響で大学時代に中古のスウェーデン車サーブを格安で買って以来、もっぱら欧州の中古車ばかり乗り継いできた。車にとくべつ詳しいわけではない。見てくれ最優先を貫いた結果に過ぎ...
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サザン桑田佳祐と山下達郎…“夏歌の名手”が新曲のタイミングで露呈した人間性
あまたの夏歌で知られるサザンオールスターズが、新曲「歌えニッポンの空」で海辺の街をイメージさせる切なくも陽気な夏を歌い、話題である。 デビュー45周年を記念した3カ月連続新曲リリースの第2弾。2日に配信となった。第1弾「盆ギ...
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ジャニー喜多川氏「性加害問題」で新証言 服部吉次さんと友人が明かした壮絶被害と恐怖の記憶
ジャニーズ事務所の創業者であるジャニー喜多川氏(2019年に87歳で死去)による性加害問題で新証言だ。 「東京ブギウギ」「青い山脈」など昭和歌謡の大ヒットメーカーで国民栄誉賞を受賞した作曲家の故・服部良一氏の次男で俳優の服部吉...
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中森明菜と松尾潔氏をクビにしたSCを結ぶ“点と線”…こき下ろした山下達郎と独立に関与した小杉理宇造氏
2017年12月のディナショーを最後に活動休止状態にある、中森明菜(58)。明菜はデビュー40周年の昨年、再始動に向けて新たな個人事務所を設立。8月に公式ツイッターアカウントを開設している。久々の復帰の兆しにファンの期待は高まったが...
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ASKAが炎上中の山下達郎を擁護も…松尾潔氏のこと「知らない」ツイートは虚言の可能性
「達郎さんは『性暴力』を容認したんじゃないだろ。」 10日、自身のツイッターにこう投稿したのはシンガー・ソングライターのASKA(65)。ラジオでの発言が物議を醸している山下達郎(70)を擁護し、「『バイバイ』と言って去った方...
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山下達郎の発言めぐり妻・竹内まりやも《自分の考えを言う機会を持つべき》とSNSでヤリ玉に
シンガー・ソングライターの山下達郎(70)が、9日放送の「山下達郎 サンデー・ソングブック」で、ジャニー喜多川氏の性加害問題を巡って、山下と竹内まりや(68)夫妻が所属する「スマイルカンパニー」から契約解除された音楽プロデューサーの...
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山下達郎「私の音楽は不要でしょう」発言で大炎上…“裸の王様”と化しファン落胆の必然
シンガー・ソングライターの山下達郎(70)が自らの発言で窮地に陥っている。 山下は9日放送の「山下達郎 サンデー・ソングブック」(TOKYO FM系)で、ジャニー喜多川氏の性加害問題に関してメディアで言及したことを理由にスマ...
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松尾潔氏SC契約解除問題で表面化…小杉家、山下家、藤島家“義理人情”の起点はジャニーズの“元長男”
ジャニーズ事務所の創業者、故・ジャニー喜多川氏(享年87)による元タレントへの性加害問題が、思わぬところに飛び火している。 ジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子社長の対応に苦言を呈したことを理由に、音楽プロデューサーの松尾潔氏...
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山下達郎への失望感で影響が心配なジャニタレたち…そしてこの冬の「クリスマス・イブ」にも
ジャニーズ事務所への逆風が、また吹き始めた。音楽プロデューサー松尾潔氏(55)の“スマイルカンパニー契約解除問題”をめぐり、シンガー・ソングライター山下達郎(70)が9日に自身のラジオ番組で“反論”。ネット上には《山下さんにはガッカ...
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山下達郎のジャニーズ問題炎上に中森明菜ファン参戦!「駅」酷評騒動むし返し怒り再燃
ジャニーズ事務所の創業者のジャニー喜多川氏(享年87)による元タレントへの性加害問題を巡り、同事務所への対応に苦言を呈した音楽プロデューサー松尾潔氏(55)が、スマイルカンパニー(SC)を契約解除された一件で、シンガー・ソングライタ...
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山下達郎ラジオでの不遜発言に「ファンやめた」の大合唱 性被害者への想像力と社会性の欠如を露呈
当人はラジオで「一切やってません」と語ったSNSは、「ファンやめた」「CD捨てた」「目が覚めた」「もう聞かない」という残念極まりない言葉の数々で埋め尽くされている。 音楽プロデューサーの松尾潔氏(55)がシンガー・ソングライ...
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「スマイルカンパニー契約解除の全真相」弁護士を通じて山下達郎・竹内まりや夫妻の“賛成事実”を確認
おだやかな時間をこよなく愛して生きてきた。そんな自分が、55歳にもなって週刊誌記者に初直撃されようとは。ちっともメロウじゃないなぁ。短い、でもそこそこ長い人生には、時として想像もつかぬ場面が待っていることを思い知った。 きっ...
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山下達郎が中野サンプラザの掉尾を飾るも…ジャニーズと“蜜月”で性加害問題ダンマリ貫くのか
“音楽の聖地”として長く親しまれてきた「中野サンプラザ」(東京・中野区)が2日、建物の老朽化に伴う再開発のため50年の歴史に幕を下ろした。 1973年に「全国勤労青少年会館」として、結婚式場やプール、スポーツジムなどを兼ね備え...
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一度は行ってみたい「ニューミュージックの聖地」を巡礼 コンテンツ戦略の第一人者が案内
ゴールデンウイークの最後は、あの名曲の聖地を訪ねてみるのはいかが。日本のコンテンツ戦略の第一人者である法政大学の増淵敏之教授が、その魅力を案内する。 ◇ ◇ ◇ 「コンテンツツーリズム(『聖地巡礼』ともいう)」が...
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コロナ第7波がライブエンタメ界を直撃! 歌舞伎座でクラスター、夏の大型フェスも戦々恐々
復調しつつあったライブエンタメ業界が、感染拡大が続く“コロナ第7波”の逆風にまたも見舞われている。 松竹は22日、出演者および関係者合計48人に新型コロナ陽性が確認されたとして、東京・歌舞伎座の「七月大歌舞伎」を、千秋楽まで...