長嶋茂雄引退の丸1年後、「日本一有名な10文字」が湘南で誕生した
1975年の桑田佳祐
いよいよ「1975年の桑田佳祐」である。
「いよいよ」じゃねえよ。この年の桑田佳祐はまだアマチュアだろうが。しかし、その後「ニューミュージック」を超えて、日本音楽界最高の存在になっていく桑田佳祐だ。特別にアマチュア時代を追ってもいいだろう。
時計を少し巻き戻して、前年74年の10月14日へ。長嶋茂雄の引退セレモニーの日だ。この日のことを桑田佳祐はサザンオールスターズ「栄光の男」の冒頭で歌っている。「♪ハンカチを振り振り あの人が引退(さ)るのを 立ち喰いそば屋の テレビが映してた」
テレビを見ているのは、青山学院大学経営学部の1年生。18歳の秋である。
ここからは桑田佳祐「ロックの子」(講談社)という、85年に刊行された本の巻末にある年譜から、刊行の10年前=75年の桑田佳祐を追う。
この年のキーワードの1つ目。それは「湘南ロックンロール・センター」だ。地元の湘南で、桑田佳祐と、その友人で、DJとしても知られる宮治淳一が仕切る音楽イベントである。


















