週末オススメ本ミシュラン
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欧米と価値観を共有できると信じたことがゴルバチョフの失敗だった
KGB(ソ連国家保安委員会)と、その後継機関のロシア保安省で、1979~92年まで英米課長をつとめたレム・クラシリニコフ(1927~2003年)の回想録だ。 日本ではほとんど知られていないソ…
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日本の自称ジャーナリストは耳が痛いか、痛さを感じる耳をなくしたか
「ジャッカルの日」や「オデッサ・ファイル」、そして「戦争の犬たち」(いずれも角川文庫)などを私は夢中になって読んだ。その興奮を私はいまも忘れない。その著者の、これは自伝である。なぜ、インサイダーではな…
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アメリカを夢見て日本を貶める愚
実に絶望的な本である。基本的には、富の集中と格差というか、むしろかつての「貴族と庶民」のような分類が世界中で生まれ、特にアメリカはその状況がすさまじいといった事情をシリコンバレー在住の著者が記した書…
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日本政治の右傾化の底の浅さが分かる
天皇の生前退位問題をきっかけに、さまざまな天皇論の本が出たが、評者が読んだ中では本書がもっとも読み応えがあった。島薗氏が、宗教学の通説的な立場から近代の天皇と神道について解説するのに対して、政治思想…
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上質なドキュメンタリーを見た気分
きわめて上質のドキュメンタリーを見た気分だった。映像が目に浮かぶし、気持ちも伝わってくる。エピローグでは、不覚にも、涙を流してしまった。 著者は、ノンフィクションの映像ディレクターで、本書の…
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軍隊経験が語らせた「負けてよかった」
戦争に「負けてよかった」と考える者と、「よくなかった、今度こそは」と考える者との争いなのである。後者の先頭に、戦争犯罪人というレッテルを貼られた岸信介の孫の安倍晋三が立ち、問題の森友学園の籠池泰典ら…
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記憶は睡眠中に整理される
年を取ると睡眠時間が短くなる――。何度も聞いていた定説だが、まったくそんなことはない。最近、7時間寝なくてはどうにもその日の調子が悪くなってしまった。しかも、その「7時間」にしても、質が良くなくては…
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優れた小説は実用書としても役立つと再認識
村上春樹氏の新作「騎士団長殺し」が抜群に面白い。読者からこの優れた小説を読む楽しみを奪ってはならないので、筋書きについてはあえて説明しない。 古代ギリシャのプラトン以来、西洋哲学には目には見…
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モデル小説で新聞記者に語らせたタブー
プロ野球の南海ホークスに杉浦忠という名投手がいた。長嶋茂雄と立教大学同期だが、挙母高校の出身である。挙母は由緒ある地名だったが、その挙母市が1959年に豊田市になる。トヨタ自動車の豊田である。どうし…
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偉人のことが短時間で分かる知のトレーニング書
ネットの検索機能は「知識にアクセスするための高速道路」のように感じるだろう、としつつも、その問題に詳しい人に質問をしたり何冊も本を読むことの重要性も説く。我々は案外と知らないことが多く、それは特にネ…
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だからウォールストリートはトランプを支持しているのか
トランプ大統領の下での米国経済を予測した興味深い作品だ。 〈「ドッド・フランク法(金融規制改革法)を廃止する!」/トランプの選挙公約が、米国の金融規制強化の流れに「待った」をかけた。/(中略)…
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世界のオザワ誕生に父の物語
「父はとにかく東条英機や岸信介のことを嫌っていました。『日本を滅ぼすのは軍人と官僚だ。軍人は涙を知らない。官僚は利権のことしか考えない』。そう言って、よく怒っていました。戦後、岸信介さんが首相になった…
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サッカーを儲かるビジネスにした電通の体質とマンパワー
新入社員が自殺した件で、電通が昨年来注目されている。負の部分が注目される傾向にあるが、ダイナミックな企画をし、実際に実行に移すだけの実力を持った企業であることもこれまた真である。本書は電通がいかにサ…
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安倍首相も読むべきプーチンと付き合う際の留意点が満載
ロシアのプーチン大統領について、日本語で読むことができる最良の書だ。ソ連時代は、KGB(国家保安委員会)で対外インテリジェンスを担当する中堅職員(退役時の階級は中佐)が、1996年にモスクワで大統領…
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これは新しいマクロ経済学の教科書だ
ヘリコプターマネーというのは、政府や中央銀行が、まるでヘリコプターからばらまくように、市中に貨幣を供給する究極の景気浮揚策だ。このヘリコプターマネーは、日本では評判が悪い。まるで打ち出の小槌のように…
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自民改憲草案を推し進める2つのタイプ
小林節は、かつて自民党のブレーンだった。それだけに彼らが何を、どう考えているか、よく知っている。その体験を踏まえて、小林は自民党の改憲草案を推し進めている議員には2通りのパターンがいると解説する。 …
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「寝るヤツはバカ」を真っ向否定する睡眠指南書
東大の寮に入り浸っていたことがあるが、東大生に共通していたのは、ストンと眠りにつき、長時間寝るということだ。と思っていたら、東大出身の堀江貴文氏も毎日8時間寝ると発言している。その一方、会社では同僚…
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「自分がワクワクしないと他人はワクワクしない」に納得
マスメディアで強い発信力を持つ若手社会学者の古市憲寿氏が、小熊英二氏、上野千鶴子氏、宮台真司氏ら12人の社会学者とのインタビューをまとめた本である。12人の社会学者が先生で、古市氏が生徒役という体裁…
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いまや子供は家より高い買い物
本書が指摘する日本の教育環境の長期的変化は2つある。大学進学率の上昇と教育費の高騰だ。 この30年で、大学進学率は倍増の52%となった。高専や専門学校専修課程を加えた高等教育全体だと80%に…
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大阪「新世界」を守ってきたのは極道だった
反社会勢力というのだという。暴力団のことである。私などからは、安倍(晋三)政権の方がよほど“反社会勢力”に見える。いわゆる世間の人はそうは見ないのだろう。 「突破者」の宮崎学が、暴力団がいない…
