週末オススメ本ミシュラン
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1人の勇気ある行動が社会を変えることもある
2015年と2085年の時空を超えて描かれた傑作だ。「週刊文春」に連載時に起きた都議会のセクハラ野次事件、パキスタンのマララさんのノーベル平和賞受賞、香港の雨傘革命などを作品に巧みに取り込んでいる。…
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がんになった時どう対処するか考え方が変わった
国民の2人に1人がかかると言われるがんは、ある意味で最も身近にある病気だ。そのがん治療の世界で、「がんと闘うな」と言い続けている近藤誠医師は、特異な存在だ。その近藤誠医師の最新著が「がん患者よ、近藤…
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著者が「忘れられない」という安倍首相の冷たい言葉
「拉致問題を追い風にして総理大臣にまで上り詰めた」安倍晋三に対して、「北朝鮮による拉致被害者家族会」の事務局長だった蓮池透が挑戦状を叩きつけた。 安倍が拉致問題でがんばったというのは神話であり…
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五輪エンブレム炎上騒動の冷静すぎる分析
昨年夏に発生した「東京五輪エンブレム騒動」を題材として、「デザイン」「パクリ」「業界の閉鎖体質」などに切り込むほか、デザイナーの役割を描く書である。著者の文章には、すっかり多くの人々からうさんくさい…
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静かなブーム「地政学」を正確に知る一冊
最近、地政学が静かなブームになっている。地政学コーナーが設けられている書店もある。しかし、地政学に関する先行学説や基礎知識を欠いた乱暴な新刊書もある。地政学の要因に「民族」を入れている本を見たら、読…
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稀代の名著ついに復活 男のドラマは「革命とニヒリズム」
今回は「復刊案内」である。徳間文庫に続いて、ちくま文庫でも絶版になってしまったこの掛け値なしの「稀代の名著」が入手できなくなるのが堪えられなくて、私は復刊に力を貸した。そして、解説も書いた。 …
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広告業界のトホホと世相が楽しめる超大作
1981年にビッグコミックスピリッツで連載開始された、広告代理店「シロクマ広告」を舞台とした4コマ漫画(1コマ漫画・やや長い漫画含む)である。基本的には業界や世相のトホホな面をコミカルに描き、「こん…
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これは、ストンと腹に落ちる経済政策だ
21世紀になってから、新自由主義的な弱肉強食の瘴気が日本の社会全体を覆っている。一人一人がアトム(原子)的に分断されてしまい、非正規労働者は使い捨てにされる。正社員でもいつまで身分が安定しているか、…
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いま国民は核心を突く人を欲していないのか
本書は、もともと若者に向けて、ジャーナリストという仕事を紹介するために書かれたものだ。だが、私は、この本を広く国民に読んで欲しいと思う。それは、本書で著者が、ジャーナリズムとは何かという問題に、真正…
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パソナ迎賓館で竹中平蔵が寄り添う和服女性
アベノミクスなどというものは株価を上げるためだけのデタラメなものだったことが明らかになった。その宣伝マンの代表がパソナ会長の竹中平蔵である。これだけ株価が下がっても、この“舌屋”(舌先だけで言いくる…
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青春がしみじみよみがえる読後感
ボロイ、汚い、薄暗いのネガティブ要素満載とされた東京大学駒場キャンパスに2001年まで存在していた寮の歴史と、そこに住んでいた人々が織り成す数々の珍事件やバンカラ騒動を、しんみりとした筆致で記したノ…
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結局、男と女は異類なので結婚しても悲劇しか生まれない
19日に第154回芥川賞を受賞した作品だ。専業主婦で子どももなく平凡に暮らしている私は、〈ある日、自分の顔が旦那の顔とそっくりになっていることに気が付いた。〉。 確かに夫婦は、長年暮らしてい…
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自民党のメディアコントロールは巧妙だ
政府を批判する人が、メディアから確実に姿を消している。報道ステーションの古舘伊知郎氏がMCを降板し、ニュース23も岸井成格氏がアンカーを降板する。リベラル派のコメンテーターも、ほとんど消えてしまった…
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「恥ずかしい」首相の原点がわかるエピソードに納得
昨年の秋、安倍首相の母校である成蹊大学法学部政治学科の後輩のブログが評判を呼んだ。後輩一同は安倍の「安全保障関連法案における、学問を愚弄し、民主主義を否定する態度に怒りを覚え、また政治学を学んだとは…
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「右だ」「左だ」のレッテル貼りに痛快な反論
1999年発売の「新・ゴーマニズム宣言SPECIAL 戦争論」(幻冬舎)にて、過度な自虐史観を改めるべきだという提案をした小林よしのり氏は、いつしか「ネトウヨの生みの親」といわれるようになった。しか…
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たしかに農業と出版業はよく似ている
例えば、書籍ビジネスについては、神奈川県藤沢市にあるパナソニックの工場跡地を利用した町づくりについて紹介している。 〈これまでの大型書店は、ほとんど駅前ビルに入っていた。デパ地下に料理の本があ…
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あと数年でテレビの見方はこう変わる
テレビを囲んで家族が人気のテレビドラマを一緒に見る。50年続いてきたお茶の間の風景が、もうすぐ一変する。その未来の姿を目に映してくれるのが、本書だ。 アメリカの定額制ビデオ・オン・デマンド(…
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侵略戦争の責任を裁かないニッポン人の罪
南京大虐殺のあった1937年に自分がその場にいたら、果たして中国人を殺さずにいられたかという問いを自らに突きつけ、記憶の墓をあばく試みに挑んだ辺見は、「過去がげんざいに追いつき、げんざいを追いこし始…
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白人ではなく中国人が見る日本が重要
今年の流行語大賞を獲得した言葉の一つが「爆買い」である。中国人観光客が大量に家電量販店やブランドショップで買い物をすることを指し、今年の春節以降、観光シーズンになるとテレビは飽きることなくこの風景を…
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ストーカーがエスカレートし信頼と愛情を考えさせられる一冊
本書には、「いなか、の、すとーかー」と「ウォーク・イン・クローゼット」の2作が収録されている。いずれも深い人間洞察に裏付けられた面白い作品だ。 「いなか、の、すとーか」の主人公・石居透は、新進…
