五木寛之 流されゆく日々
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連載10107回 風に吹かれてユラリ <4>
(昨日のつづき) 昨日の日刊ゲンダイの記事に注目した。 全国で変形性膝関節症の患者は、2500万人にのぼるという話である。 2500万人というのは、治療を受けた延人数だと思われるが、それに…
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連載10106回 風に吹かれてユラリ <3>
(昨日のつづき) このところ高齢者の運転事故が、やたらと多い。そう感じるのは、報道が無意識に高齢者の車の運転を抑制しようとしているからではないかと思う。80歳以上のドライバーに対して、社会全体のプ…
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連載10105回 風に吹かれてユラリ <2>
(昨日のつづき) 街を歩いていて、フラリ、フラリと左右に体が揺れる人を見かける。たしかめるとほとんどが高齢者だ。 酒に酔っているわけでもないのに、千鳥足なのはなぜだろう。 最近、読んだ本に…
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連載10104回 風に吹かれてユラリ <1>
年をとると話が限られてくる。老人同志だとすぐに病気の話になりがちだ。 トランプがどうとか言ったところで、しょせんのちの世の話じゃないか。オレたちには、この1、2年しかないんだよ、といった明るいニ…
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連載10103回 アメリカ・アズ・No1 <5>
(昨日のつづき) 最近、人口論が話題になっているが、日本の人口についても意外に思うことが少くない。 たとえば、縄文晩期(紀元前2900年)あたりのこの列島の人口が、7万6000人と聞けば誰でも…
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連載10102回 アメリカ・アズ・No1 <4>
(昨日のつづき) フランスで国民戦線の動きが注目されている。まさか、とは思うがルペンがフランスのリーダーになる可能性はゼロではない。いま世界は常識を引っくり返す出来事の連続だ。 このコラムで何…
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連載10101回 アメリカ・アズ・No1 <3>
(昨日のつづき) カシアス・クレイは、のちにモハメッド・アリと改名した。自分がアフリカから強制連行されてきた奴隷の末裔であると自覚して、あたえられた名前を捨て、そのルーツに関係のある名前を選び取っ…
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連載10100回 アメリカ・アズNo1 <2>
(昨日のつづき) アメリカの栄光はB29でもなければ、宇宙ロケットでもない。『サマー・タイム』や『ラプソディー・イン・ブルー』あればこそである。それは移民の子、ガーシュインの創りだしたアメリカの文…
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連載10099回 アメリカ・アズ・No1 <1>
アメリカは戦後少年である私たちにとって、はるかな憧れの国だった。 それはモノの王国、技術の帝国としてのアメリカではない。野球に代表される巨大なスポーツビジネスの世界でもない。 カルチュアとし…
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連載10098回 太るべきか痩せるか <5>
(昨日のつづき) 「体重、いかがですか」 と、このところ出会う人ごとにきかれる。 さては日刊ゲンダイを読んでるな、と内心思いつつ、 「いや、おかげさまで何とか予定どおりに収まってるけど」 …
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連載10097回 太るべきか痩せるか <4>
(昨日のつづき) 体重の増減というのは微妙なものである。 朝と夕方ではちがう。夜中に計ってみるとまたちがう。 食事の前と後では、これはちがって当然だろう。150グラムの肉を食べれば、それだ…
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連載10096回 太るべきか痩せるか <3>
(昨日のつづき) 痩せるためにはどうするか、という話ばかりが氾濫している当節だ。要するにダイエットである。メタボはいけない、これをどう克服するか、というような記事がやたら目につく。 しかし、世…
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連載10095回 太るべきか痩せるか <2>
(昨日のつづき) 「さぞ健康に気を使ってらっしゃるのでしょうね」 と、よくきかれる。 「そのお年で、連載を何本も抱えておられるわけですから」 そう言われても、実際にこれという健康法を実践し…
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連載10094回 太るべきか痩せるか <1>
健康は命より大事、といわれる昨今だ。ことに今後、きびしい老後が待ち受けているだろう高齢者は、健康だけが頼りである。 なにしろ648万人といわれる団塊の世代が、一斉に高齢化するのだからたまらない。…
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連載10093回 アニメ時代の人間感覚 <5>
(昨日のつづき) 文明が発達するにつれて、私たちの生活は間接的になっていく。人と人とのあいだに機械が介在することで、直接の人間関係が少くなっていくからだ。 それは便利ということの裏返しでもある…
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連載10092回 アニメ時代の人間感覚 <4>
(昨日のつづき) 考えてみると私自身の生活も、いつのまにか間接的、機械的になってきている。手書きで原稿を書いているとはいえ、万年筆のインクはカートリッジ式だ。 むかしはインク瓶から吸いあげて、…
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連載10091回 アニメ時代の人間感覚 <3>
(昨日のつづき) 私が子供のころ、というのは昭和10年代の前半にあたる。当時もマンガは人気があった。私の記憶では、『のらくろ』や『タンクタンクロー』、『冒険ダン吉』などが印象に残っている。 戦…
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連載10090回 アニメ時代の人間感覚 <2>
(昨日のつづき) この日刊ゲンダイのコラムの原稿は、400字詰めの原稿用紙に手で書いている。筆記用具は、パイロットの1万円の普及品だ。 手書きの上に、字が汚い。ゆっくりと丁寧に書けば問題はない…
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連載10089回 アニメ時代の人間感覚 <1>
昨年から今年にかけて、画期的な大ヒットとなったのは、映画『君の名は。』と『シン・ゴジラ』だった。その後『この世界の片隅に』も大きな話題を集めた。『世界の片隅――』では、本篇が終ったあと、延々と無数の…
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連載10088回 見えない時代の真実 <5>
(昨日のつづき) 一日に一度は書店をのぞく。これはもう習性のようなもので、食事をするのと同じような生活習慣だ。 このところ書店の棚には、トランプ関係の本が山積みされている。クリントンの関連書も…