健康産業最前線2025 ~期待されるCBDの現在地と将来~

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成分規制をすることで医療や産業用途に転換しやすい形に

 オイル、リキッド、グミ、サプリメント……。近年、「CBD」に関する商品が数多く見られる。

 CBDは「カンナビジオール」の略で、大麻草に含まれる成分の一つだ。ストレス緩和、リラックス作用、疲労回復、抗炎症作用などに優れていると言われている。一方、大麻草にはTHC(テトラヒドロカンナビノール)という成分も含まれている。このTHCこそが幻覚や痙攣などを引き起こす有害成分である。

 ジャーナリスト・山田厚俊氏は言う。

「日本ではこれまで大麻は「大麻取締法」という法律で規制されていた。いわゆる「麻薬」とは一線を画して取り締まられていたのだ。というのも、七味唐辛子の原料(麻の実)やしめ縄(麻)など、文化的に古来、根付いていた歴史的背景があったからだ。

 しかし、その内容は成分規制ではなく部位規制となっていたため、CBD製品販売のネックとなっていた。大麻イコール違法薬物とのイメージが強かったため、CBDも同類と見られることが多かったからである。」

 転換期は2023年。「麻薬及び向精神薬取締法」「大麻取締法」が改正されたことによる。

 大麻を麻薬と規定し、成分規制を明確にしたのだ。厚生労働省は麻薬取り締まり強化を図るとともに、成分規制をすることによって医療や産業用途に転換しやすい形に整えたのである。

 大麻草からCBDを抽出した際、わずかだが、THCが含まれる場合がある。改正法ではTHC含有量の基準値を定め、この基準値を超えなければ合法とみなした。

 改正法によって、CBD製品の門戸は広げられた。しかし、まだ社会のCBDに対する誤解も多い。今後は、「CBDは薬物ではない」との啓蒙活動などが不可欠だろう。

厳しい厚労省の数値基準もCBD製品の保証の根拠に、さらなる商品開発へ

「欧米各国の規制よりかなり厳しい内容ですが、日本にCBD製品を普及させるために努力します」

 首都圏でCBD製品を製造・販売している企業経営者はこう語る。その理由は、2024年12月、厚生労働省がCBDに含まれる「THC(テトラヒドロカンナビノール)残留限度値」を発表したからだ。

 ちなみにこのTHCは幻覚や痙攣を起こす有害成分だ。それによると、油脂(常温で液体)および粉末で10ppm(0.001%)、飲料は0.1ppm(0.00001%)、その他は1ppm(0.0001%)という内容である。別の製造販売業者はこう語る。

「茎や種子にもごく微量のTHCが混じっている場合があります。また、原材料として輸入する際、洗浄したりしてTHCを除去しなければいけません。この数値は欧米各国とは比較にならないほど厳しい基準で、計測器の誤差と言っていいほど。THCは完全に除去しろと言っているようなものです」

 欧米から原材料を輸入してもそのまま使用できないケースがあり「日本クオリティー」を満たすための工夫が必要になってくるという。しかし、CBD製品を扱う企業の多くは前向きに捉えている。

「この基準は、CBD製品を保証する根拠となります。このことにより、消費者は安心してCBD製品を利用できることになる」(前出の業者)

 企業の中には欧米企業と共同で、あるいは独自でTHC除去の技術を進め商品開発に乗り出しているところも出てきている。

 永田町で超党派の「カンナビジオールの活用を考える議員連盟」(会長・山口俊一衆院議員)の事務局長を務める松原仁衆院議員はこう語る。

「成長産業の一つとして期待されています。栽培についての基準も統一化され、新規参入も期待されている。基準がしっかり順守され、CBDは無害だという認識が広まり、大手企業の参入できる環境が整うと、よりいい」

 一昨年の法改正により医療用目的の薬品使用とともに、サプリメント等の製品が市場に出回っている。安心安全だとの認識が広まり「日本クオリティー」の商品が世界に広まれば、日本経済の起爆剤の一つになるとの指摘だ。

世界に目を向ければ、CBD市場は急成長している。

 CBD Library編集長/京都麻の葉代表 相内拓也氏はCBD関連の取材を続けているなかで、世界保健機関(WHO)は2017年、CBD(カンナビジオール)の安全性を認め、「乱用や依存のリスクは低く、健康上の利点がある」と報告した。これを受け、CBDの原料である大麻の国際的な規制緩和が進み、18年にはカナダがG7諸国の中でいち早く大麻を合法化している。24年にはこれにドイツも続き、米国でも州ごとの合法化が進み、連邦法改正も時間の問題とされている。

「ワールドワイドに見ればCBDの健康効果が広く認知されるようになり、医療・美容・食品分野で製品が多様化しているのが現状だ。」(相内氏)

 特に欧米ではウェルネス市場との親和性が極めて高く注目されており、ストレス軽減や睡眠改善を目的としたCBD製品の需要が高い。ある調査によると28年までに市場は年平均48%成長し、557億㌦規模に達すると予測されている。

 これが今の世界の流れになっているのだ。

 一方、わが国では24年にTHC残留基準が施行され、CBD市場は転換期を迎えた。これにより、新たな基準に適応できず、市場から撤退を余儀なくされる事業者も出るとみられるが、品質基準が明確化されることで、消費者の信頼を得る土台が整った。また、基準をクリアした製品のみが流通することで、業界全体の健全化と品質の向上も期待される。

「日本の食品や化粧品がアジア市場で高評価を得ているように、中長期的には「Made in Japan」のCBD製品が国際市場で競争力を持つ可能性が高いとの見方も。つまり規制は厳しいが、それを強みに変え、信頼性の高い市場を形成することがその一歩になる。もちろん市場の持続的な成長には、消費者の誤解を解消し、正確な情報を常時発信することが何より不可欠だ。」(相内氏)

 2025年、日本のCBD業界がどのように進化するか、注目される年となるだろう。

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