鈴木敏夫 新・映画道楽 体験的女優論
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星由里子編(4)「日本侠客伝・花と龍」から星さんは東映の作品で一味違った活躍を見せていくんですよ
1968年、星由里子は「忘れるものか」で日活の石原裕次郎と共演。彼女にとってはこれが、東宝以外の初の他社作品だった。映画は、かつて裕次郎と二谷英明の2人に愛された星由里子が二谷を選ぶが、二谷が謎の死…
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星由里子編(3)『若大将』シリーズの澄ちゃんに集約されて他の代表作が作れなかった
1962年、星由里子は「娘と私」「箱根山」「河のほとりで」と文芸作品に、立て続けに出演した。当時中学生だった鈴木敏夫は、それらの映画をリアルタイムで見ている。 「獅子文六原作の『娘と私』は、日…
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星由里子編(2)「若大将の澄ちゃん役は東宝の女優のイメージを体現していた」
1967年、鈴木敏夫は慶応義塾大学文学部に入学した。映画「若大将」シリーズの主人公・田沼雄一は京南大学に通っている設定だが、演じた加山雄三が慶応義塾高校からスライドして大学に進んでいたことを考えると…
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星由里子編(1)衝撃だった「若大将」シリーズ、大学に抱いていたイメージがすべて吹っ飛んだ
女優・星由里子は1958年に東宝が募集した「ミス・シンデレラ娘」で優勝し、東宝に入社。「すずかけの散歩道」(59年)で映画デビューし、浜美枝、田村奈巳と共に「東宝スリーペット」の一人として売り出され…
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多岐川裕美編(5)深作欣二と宮崎駿が描く凶暴と無垢「どこか相通じる何かを感じる」
「仁義の墓場」(1975年)で、破滅的な人生を送る伝説のやくざ、石川力夫を描いた深作欣二監督。その暗く、孤独の影をたたえた男を、なぜ監督は主人公に選んだのか。 「題材は東映のプロデューサー・吉田…
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多岐川裕美編(4)理屈では測りきれないヒロインは深作映画の中でも特殊だった
深作欣二監督の「仁義の墓場」(1975年)で主人公・石川力夫の妻・地恵子を演じた多岐川裕美。劇中では、なぜこの女性が石川に惹かれ、破滅へと突き進む彼を支え続けたのかは描かれない。彼女の“自我”が分か…
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多岐川裕美編(3)映画「仁義の墓場」の救いのなさの中に咲いた花一輪
1975年2月、深作欣二監督、渡哲也主演の「仁義の墓場」が公開された。当時の深作監督は「仁義なき戦い」5部作を完結させ、続く「新 仁義なき戦い」(74年)を作り終えたばかり。また渡哲也は大河ドラマ「…
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多岐川裕美編(2)主演作「聖獣学園」の体当たり演技は話題を集めたが、興行的には惨敗
1973年に徳間書店から創刊された劇画雑誌「コミック&コミック」。その編集者となった鈴木敏夫は、原作を書いた東映の監督たちと親しく付き合うようになった。 「一緒に食事をした印象だと、石井輝男さ…
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多岐川裕美編(1)「コミック&コミック」編集者時代に担当した中島貞夫さんと石井輝男さん
今回取り上げる多岐川裕美は、東映映画「聖獣学園」(1974年)の主演に抜擢されて、女優デビューしている。だが彼女のことを語る前に、鈴木敏夫の個人史から話を始めよう。 「僕は慶応義塾大学の学生時…
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池内淳子編(7)「愛する男に今の自分ができる精いっぱいの化粧。これが最後の化粧になるんです」
「沓掛時次郎・遊侠一匹」(1966年)の後半。病身のおきぬ(池内淳子)は、これ以上時次郎(萬屋錦之介)に世話をかけたくないという思いから息子の太郎吉とともに姿を消した。それから1年後、雪の降る旅籠の一…
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池内淳子編(6)「沓掛時次郎・遊侠一匹」禁欲的なヒロインを見事に演じた
池内淳子は「けものみち」(1965年)に主演した翌年、加藤泰監督の「沓掛時次郎・遊侠一匹」(66年)に出演した。これは作家・長谷川伸の同名戯曲を映画化した“股旅もの”である。 「股旅ものは長谷…
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池内淳子編(5)男に弄ばれても、自分なりに生きようともがく女性を熱演
児玉誉士夫や横井英樹をモデルに、政界の大物やホテルの支配人に弄ばれる女性を描いた、池内淳子主演の「けものみち」(1965年)。横井英樹は82年に火災が発生したホテルニュージャパンの所有者だったが、鈴…
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池内淳子編(4)池内淳子主演「けものみち」の原作小説のモデルになった2人の男
池内淳子は、東京で祖父の代まで8代続いた乾物屋の長女として生まれた。厳格で古風な祖父は、彼女を高校卒業後すぐに見合い結婚させようとしていて、それを嫌った池内淳子は家族に内緒で三越百貨店に就職。呉服売…
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池内淳子編(3)「花影」にみる“文壇”という特殊な世界の闇…文士たちが水商売の女を弄ぶのが普通だった
愛を求めてさすらう、夜の銀座に生きた女性・葉子を描いた、池内淳子主演の「花影」(1961年)。誰からも本当に愛されない彼女は自ら死を選ぶが、鈴木敏夫はそこにかつてあった“文壇”という特殊な世界の闇を…
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池内淳子編(2)「孤独の影を背負ったヒロイン像は彼女によく似合っていると思いました」
池内淳子主演、川島雄三監督の「花影」(1961年)で、ヒロイン・葉子のモデルになった坂本睦子。17歳から銀座のバーで働き始めた彼女は、そこに通ってくる文士たちと、次々に肉体関係を持った。 「彼…
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池内淳子編(1)印象が最初に強く刻まれたのは、川島雄三監督の映画「花影」
小料理屋を持つことを夢見る芸者のてまりを主人公にした「日曜劇場」の人気シリーズ「女と味噌汁」(TBS系、1965~80年)で視聴率“20%女優”の異名を取り、血のつながらない子どもたちを育てる母親を…
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「歌え若人達」編(下)山田太一は大島渚よりも、リアルな学生の気分を映し出そうとした
1963年1月6日に公開された木下恵介監督、山田太一脚本による「歌え若人達」。これは大学の寮で暮らす松川勉、川津祐介、三上真一郎、山本圭の学生4人を描いた青春群像劇。もとは山田太一が大学の同級生だっ…
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歌え若人達編(上)初期の作品から印象的な「セリフのうまさ」は木下監督の口述筆記で身についた
前回までは山田太一のテレビドラマの初期の代表作「3人家族」(TBS系.1968年)を取り上げたが「山田太一編」の最後として、彼の脚本家としての原点である、松竹時代にスポットを当てる。 山田太…
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3人家族編(4)「縁を大切に育て、生まれるものの先に幸福が」時代への反動の思い
柴田雄一(竹脇無我)と稲葉敬子(栗原小巻)の愛を描いた、山田太一脚本の「3人家族」(TBS系、1968年)。2人は最終的に将来の結婚を約束するが、もう一人、スポットを当てたい人物がいる。それが敬子の…
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3人家族編(3)敬子と雄一は初めて抱き合うもキスはせず、結婚の約束をする
「3人家族」(TBS系、1968年)で300人から15人だけ選ばれる、海外留学ができる研修制度の試験に合格した雄一(竹脇無我)。海外への出発が迫る中、雄一は敬子(栗原小巻)を誘って、日帰りドライブの旅…