「ささやかな、あるいは取り返しがつかないもの」八木詠美著│選べないのは傲慢だから? 日常の影を鮮やかにすくい取る4つの短編
「ささやかな、あるいは取り返しがつかないもの」八木詠美著
「わたし」は事務用品メーカーでデータ入力の仕事をしている。夫にそろそろ家を買わないかと言われ、中古マンションを買った。
リフォームのために壁紙を選ぶことになり、不動産屋が輸入壁紙の専門店のリストをメールで送ってくれた。その中で気に入った壁紙の画像を写真フォルダーに入れた。夫はたかが壁紙と言ったが、予約をしてその店に行った。
店のスタッフがカタログを渡して、気に入ったものにフセンを貼るようにと言った。だが、なかなか決められない。スタッフが「あなたはね、傲慢なんです」と言った。判断ができないのに、自分に選ぶ権利があると思っていると。(「いちご泥棒」)
4編の短編小説。 (筑摩書房 1980円)


















