本の森
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「数学者たちの黒板」ジェシカ・ワイン著 徳田功訳
「数学者たちの黒板」ジェシカ・ワイン著 徳田功訳 テレビドラマの「ガリレオ」で、福山雅治演じる物理学者・湯川学が事件を解明するときに黒板に数式を書きなぐるシーンがある。デジタル技術が発達した現…
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「中井久夫 人と仕事」最相葉月著
「中井久夫 人と仕事」最相葉月著 ウクライナ情勢の先が見通せないうちに、イスラエルのガザ侵攻のニュースが連日報道されている。イスラエルの指導者層は、なぜ「戦争」へと踏み越えてしまったのか。 …
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「進化が同性愛を用意した」坂口菊恵著
「進化が同性愛を用意した」坂口菊恵著 以前、子どもをつくらない同性カップルは「生産性がない」と評して顰蹙を買った自民党女性議員がいたが、そこには異性愛こそが正常であるという思い込みがあったのだ…
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「索引~の歴史」デニス・ダンカン著 小野木明恵訳
「索引~の歴史」デニス・ダンカン著 小野木明恵訳 立派な構えの人文書の巻末に索引が付されておらず、がっかりしたという人は少なくないだろう。索引は注と並んでメインディッシュの本文に劣らず大事なア…
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「自称詞〈僕〉の歴史」友田健太郎著
「自称詞〈僕〉の歴史」友田健太郎著 詩人の北村太郎さんが、〈僕〉というのは〈しもべ〉という意味だから、自分はこの漢字を使わないといっていたのをよく覚えている。この自称詞としての〈僕〉という漢字…
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「中野好夫論」岡村俊明著
「中野好夫論」岡村俊明著 かつて、岩波書店のPR誌「図書」に淮陰生の「一月一話」という1ページコラムがあった。漢字論者とカナ論者の論争、小股の切れ上がったの「小股」は何か、はたまた復帰直後の沖…
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「言葉以前の哲学」今福龍太著
「言葉以前の哲学」今福龍太著 老眼鏡をどこかに置き忘れてしきりに捜すが見つからない。と思ったら机の上にちゃんとあった、なんてことはしばしばある。 しかし、ほかの物は置き忘れないのに、な…
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「富士日記の人びと」校條剛著
「富士日記の人びと」校條剛著 40年以上も前のこと。成城の大岡昇平宅を訪れたとき、和服姿のすらりとした老婦人がドアを開け迎え入れてくれた。その婦人を見た瞬間、“あっ、「富士日記」に出てくる「大…
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「蚊が歴史をつくった」ティモシー・ワインガード著、大津祥子訳
「蚊が歴史をつくった」ティモシー・ワインガード著、大津祥子訳 アレクサンドロス大王、ハンニバル、カエサル、アウグスティヌス、ワシントン──彼らに共通するのは何か。答えはマラリア。いずれもマラリ…
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「嘘つきのための辞書」エリー・ウィリアムズ著、三辺律子訳
「嘘つきのための辞書」エリー・ウィリアムズ著、三辺律子訳 1975年刊の「新コロンビア百科事典」には、リリアン・ヴァージニア・マウントウィーゼルというアメリカの女性写真家の項目が載っているが、…
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「木が泣いている」長濱和代著
「木が泣いている」長濱和代著 日本の森林率(国土面積に占める森林面積の割合)は68.7%で、フィンランド、スウェーデンに次ぐ世界第3位。世界有数の森林国にもかかわらず、日本で利用される木材の国…
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「スカートと女性の歴史」キンバリー・クリスマン=キャンベル著、風早さとみ訳
「スカートと女性の歴史」キンバリー・クリスマン=キャンベル著、風早さとみ訳 1960年代半ばに登場したミニスカートは、それまでのコルセットやペティコートといった束縛からの解放を促した。その革新…
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「お寺の行動経済学」中島隆信著
「お寺の行動経済学」中島隆信著 我々が行っている経済活動には心理的な要素が働いており、時に不合理な行動が伴う。そうした心理的要素を踏まえて経済活動を分析するのが行動経済学だ。本書は、神社や寺院…
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「塀の中のおばあさん」猪熊律子著
「塀の中のおばあさん」猪熊律子著 2020年、入所受刑者全体に占める女性受刑者の割合は10.6%と、戦後初めて10%を超えた。敗戦直後の1946年は2.2%、平成が始まった89年は4.2%だか…
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「言語の本質」今井むつみ、秋田喜美著
「言語の本質」今井むつみ、秋田喜美著 ぴえん、ぱおん、きゅん……いずれも最近使われるようになったオノマトペだ。オノマトペとは擬音語、擬態語のことで、その定義は「感覚イメージを写し取る、特徴的な…
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「沈黙の勇者たち」岡典子著
「沈黙の勇者たち」岡典子著 1941年10月、ユダヤ人に対する迫害を強めていったナチス政権は、本格的なユダヤ人の収容所への強制連行を始めた。国外への亡命がかなわずドイツにとどまったユダヤ人の一…
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「招かれた天敵」千葉聡著
「招かれた天敵」千葉聡著 レイチェル・カーソンの「沈黙の春」は、刊行後60年以上経た今日でもますます重要性を増している環境問題の古典だ。DDTなどの化学農薬が引き起こすリスクを告発したこの書で…
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「明治のナイチンゲール大関和物語」田中ひかる著
「明治のナイチンゲール大関和物語」田中ひかる著 現在全国で約130万人の看護師が働いている。そのうち9割以上が女性だが、かつて女性の就ける職業が少なかった時代、「看護婦」は女性の職業として広く…
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「妾と愛人のフェミニズム」石島亜由美著
「妾と愛人のフェミニズム」石島亜由美著 「妾」という言葉はいまやほとんど使われないが、明治維新直後の一時期、妻と並んで夫の配偶者としての法的身分を有していた。しかし、明六社に拠る男性知識人たちは…
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「食客論」星野太著
「食客論」星野太著 「食客」とは、他人の家に寄宿し、養われて生活している人のこと。居候あるいは先生の家に住み込み、雑用をしながら食べさせてもらっている書生なども指す。言葉を換えれば、宿主に寄生(…