本の森
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「検閲官のお仕事」ロバート・ダーントン著 上村敏郎ほか訳
「検閲官のお仕事」ロバート・ダーントン著 上村敏郎ほか訳 戦前の文献を読んでいると、○○や××などの記号で伏せ字が施されたものを見かける。これは、検閲官が問題視しそうな文言や表現をあらかじめ伏…
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「ゴキブリ・マイウェイ」大崎遥花著
「ゴキブリ・マイウェイ」大崎遥花著 ゴキブリ、と聞いただけで身構えてしまう人もいるかもしれない。しかし、全世界には約4500種のゴキブリがいて、そのうちクロゴキブリなど害虫と呼ばれるのは1%未…
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「石母田正」磯前順一著
「石母田正」磯前順一著 「暗黒のなかで眼をみひらき、自己を確乎と支えてゆくためにはわれわれは学問の力にたよるよりほかなかった」。戦後歴史学の出発点をなす「中世的世界の形成」(1946年刊行、執筆…
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「クジラと話す方法」トム・マスティル著 杉田真訳
「クジラと話す方法」トム・マスティル著 杉田真訳 著者は生物学者から映像作家に転じ、人間と自然が出合う物語を専門とする。2015年、カリフォルニア沖でカヤックをこいでいた著者らの前にザトウクジ…
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「隆明だもの」ハルノ宵子著
「隆明だもの」ハルノ宵子著 12年前の3月16日、戦後日本思想界に大きな影響を与えた思想家の吉本隆明が亡くなった。2年後の2014年から全38巻別巻1という長大な全集の刊行が始まった(既刊34…
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「私たちはいつから『孤独』になったのか」フェイ・バウンド・アルバーティ著、神崎朗子訳
「私たちはいつから『孤独』になったのか」フェイ・バウンド・アルバーティ著、神崎朗子訳 2018年1月、英国政府は「孤独は現代の公衆衛生上、最も大きな課題のひとつ」だとして孤独担当大臣を設置した…
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「50代で一足遅れてフェミニズムを知った私がひとりで安心して暮らしていくために考えた身近な政治のこと」和田靜香著
「50代で一足遅れてフェミニズムを知った私がひとりで安心して暮らしていくために考えた身近な政治のこと」和田靜香著 フリーランスのライターの著者は2つのバイトを掛け持ちしながら何とか生計を立てて…
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「立法者・性・文明」谷口功一著
「立法者・性・文明」谷口功一著 国会で旧統一教会との関係について追及を受け「記憶にない」を連発する盛山文科相に対しては非難の嵐だが、2年前、やはり「記憶にない」の一点張りで辞任した山際経済再生…
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「人種差別の習慣」ヘレン・ンゴ著 小手川正二郎、酒井麻依子、野々村伊純訳
「人種差別の習慣」ヘレン・ンゴ著 小手川正二郎、酒井麻依子、野々村伊純訳 ある黒人男性がエレベーターに乗り込む。そこには白人の女性がいて、男性の黒い体を見るとぴくっと体を動かし、自分のハンドバ…
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「法隆寺と聖徳太子」東野治之著
「法隆寺と聖徳太子」東野治之著 聖徳太子及び法隆寺については、古来さまざまな伝説が生まれ、推論がなされてきた。有名なのは明治30年代の法隆寺再建非再建論争だ。「日本書紀」には法隆寺は670年に…
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「明治の『新しい女』」小檜山ルイ著
「明治の『新しい女』」小檜山ルイ著 「新しい女」とは、1911年に創刊された平塚らいてうをはじめとする雑誌「青鞜」によって女性たちを指す言葉として用いられた(当初はマスコミは揶揄的に使っていたが…
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「兵役拒否の問い」イ・ヨンスク著、森田和樹訳
「兵役拒否の問い」イ・ヨンスク著、森田和樹訳 ビートルズがデビューしたのは1962年。英国で徴兵制が廃止されたのは60年だから、もし徴兵制がもう少し存続していたらメンバーたちは徴兵にとられ、ビ…
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「焼き芋とドーナツ 日米シスターフッド交流秘史」湯澤規子著
「焼き芋とドーナツ 日米シスターフッド交流秘史」湯澤規子著 19世紀後半から20世紀にかけて、日本の産業革命の中核をなす染色、紡績の工場が日本各地に急造された。これら繊維関係の工場には多くの女…
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「ポスト・ファシズムの日本」ローラ・ハイン著 中野耕太郎、奥田博子訳
「ポスト・ファシズムの日本」ローラ・ハイン著 中野耕太郎、奥田博子訳 敗戦直後、静岡県三島市に開設された庶民大学三島教室(三島庶民大学)に講師の一人として参加した若き丸山眞男は、狭い教室いっぱ…
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「セミコロン かくも控えめであまりにもやっかいな句読点」セシリア・ワトソン著、萩澤大輝・倉林秀男訳
「セミコロン かくも控えめであまりにもやっかいな句読点」セシリア・ワトソン著、萩澤大輝・倉林秀男訳 現在ではセミコロン(;)は「ピリオドよりは軽く、コンマより重い句読点」とされるが、元々は15…
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「『よく見る人』と『よく聴く人』」広瀬浩二郎、相良啓子著
「『よく見る人』と『よく聴く人』」広瀬浩二郎、相良啓子著 「5-1=6」。この不思議な数式は、「五感のうち一つを使わないことにより、人間は新しい価値観・世界観に出合う」という、本書の著者のひとり…
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「昭和50年代東京日記city boysの時代」泉麻人著
「昭和50年代東京日記city boysの時代」泉麻人著 昭和50年=1975年といえば、70年安保から5年、あさま山荘事件から3年。大学のキャンパスからは学園闘争の張り詰めた雰囲気は消え、学…
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「不機嫌な英語たち」吉原真里著
「不機嫌な英語たち」吉原真里著 英語がほぼ国際語となっている現在、英語と日本語を同じように自由に駆使することができたらなんと便利かと思えるだろう。 しかし、2つの言語いずれも母語のよう…
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「闇の精神史」木澤佐登志著
「闇の精神史」木澤佐登志著 戦後、昭和の少年少女らにとって21世紀は直近の未来であり、そのイメージは明るいものだった。その21世紀も四半世紀近く経過した。その間に米国同時多発テロ、東日本大震災…
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「シンデレラはどこへ行ったのか」廣野由美子著
「シンデレラはどこへ行ったのか」廣野由美子著 「女性は美しく素直でさえあれば、じっと待っていても白馬に乗った王子様が迎えに来て幸せにしてくれる」というメッセージを発する物語の典型が童話「シンデレ…