小説家の夫と妻、その友人らの日常を描く「長い一日」滝口悠生著
「長い一日」滝口悠生著
2017年8月のお盆明けの水曜日、いつも通り「妻」より早起きした小説家の「夫」は、階下から聞こえてくる音に異変を感じる。階下に暮らす大家のおじさんは鉄鋼製品の解体をする仕事を91歳になった今も1人で続けている。早朝から響くその音に、7年前に引っ越してきた当初は閉口したが、今は気にならない。
おじさんが作業場にしている庭に下りてみると、数日前から抱いていた予感通り、おじさんは仕事をやめることを決意したようだった。仕事に行く妻を見送りがてら散歩に出た夫はおじさんの引退をまだ伝えられない。自転車に乗って出発する間際、妻がそろそろ引っ越ししたいなと言い出し、私は動揺する。
引っ越し先を探し始めた夫と妻、そして彼らの友人らの日常をそれぞれの視点で描く長編小説。
(講談社 1045円)


















