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平井隆司デイリースポーツ元記者

1942年、大阪府出身。旅行会社に就職するも4年で退社、デイリースポーツへ。阪神の担当記者として数々の事件や騒動を取材。デイリースポーツ編集局長やサンテレビ常務など、神戸新聞グループの主要ポストを歴任した。著書に「猛虎襲来」「阪神タイガース『黒歴史』」。

「負けてもええ」が28年ぶり赤字で一変…久万オーナーは金庫を開け、野村克也監督を招聘した

公開日: 更新日:

 オーナーの久万俊二郎は口下手である。知識は人の10倍も持ち合わせている。が、それらを相手に伝えるのに、口の中で言葉が止まる。俗に口下手に悪人はいない、といわれるが、相手の、何より部下の話を聞いてもどかしいと、力ずく、短文で叱る癖があった。

「タイガースなんてちっちゃな会社や」

「タイガース、タイガースと騒ぐんやない」

 異動してきたばかりの新任常務を鼻で笑い、一方的に叩くのは、そういう癖のなせるところだったのだろう。

 そのちっちゃな会社の帳簿に異変が起き、久万が「みなを集めろ」と緊急に役員を会議室に集めたのは1996年のことである。

 この年、阪神タイガースは2年連続最下位。観客動員は5年ぶりに200万人を割り、28年ぶりで「赤字」に転落した。それまで「負けてもええ。赤字にさえならんかったらええ」と言っていた久万は再建に腰を上げる。

「赤字はあかん」

「金庫を開ける。タイガースにカネを使う」

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