「負けてもええ」が28年ぶり赤字で一変…久万オーナーは金庫を開け、野村克也監督を招聘した
ケチで知られた球団経営のかじ取りを変えた。振り返れば、この日が阪神タイガースの夜明けだった気がする。
外国人の獲得やFA戦略で下手が続いたから、カネの使い方が悪い、と確かにだれもが思った。要は下調べや情報の集約が稚拙だったことは、他の球団の編成部からもよく聞かされた。「阪神はドブにカネを捨ててますよ」。風評が飛び交い、阪神といえばケチ、という評判はついて回った。結構、カネは使っていたのだが、要は死に金が多かったのだろう。
藤田平の後任物色には長い時間がかかったが、吉田義男で2年を費やした後、ついに、思わぬ人物と出会うことになる。
「野村克也さんが(ヤクルトから)動きそうでっせ」と東京からの一報が久万の耳に届く。情報発信源は記者であった。
久万は球団の職員を密使として使い、野村の内諾を得た。
人との出会いは必然か、偶然か。再建のキーマンを久万は取った。高額契約を済ませた久万は野村節を延々と聞いた。その後日談が面白い。


















