心臓病
-
高齢者の再手術は初回からの期間が短いと「癒着剥離」の難度が上がる
2020年にいわゆる定年で主任教授を辞し、大学の理事兼特任教授となってから、およそ3年半がたちました。かつてに比べると件数は減りましたが、いまも病院で現役の外科医として手術を続けています。このところ、主に執刀しているのが「高齢者の再...
-
心臓病のリスクをアップさせる「超加工食品」について考える
食事・食品と心血管疾患の関係については、これまでも世界中でさまざまな研究が行われています。そうした中で、近年よく目にするのは「超加工食品」というものです。 保存料、人工的なうまみ成分、油脂といったさまざまな添加物が含まれ、糖...
-
「塩分」は心臓の健康にとってやはりマイナスといえる
近年、「塩分(ナトリウム)」と心臓血管疾患の関係についてさまざまな議論が交わされています。WHO(世界保健機関)は推奨する1日の塩分摂取量を5グラム未満としていて、米国では5.8グラム未満(高血圧患者などでは3.8グラム未満)となっ...
-
冬の朝のウオーキングは心臓が危ない…リスク因子が揃っている
本格的な冬が到来し、全国的に冷え込みも厳しくなってきました。 基本的に「寒さ」は心臓にとって大敵です。気温が低い環境では、人間は血管を縮めて血流を減らし、熱を体外へ逃がさないようにします。血管が縮んで血液が流れにくくなると、...
-
収入が低くなると心臓病リスクが高くなる…理由はいくつもある
近年、「収入」と心臓病の関係に関する研究が盛んに行われています。すでに、高収入の人は、低収入の人と比べて平均余命が長いことが報告されていますし、収入が高い人は、低い人と比べて心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患のリスクが低いこともわか...
-
新たな理論による「血流解析」は心臓治療を進歩させる可能性がある
近年、心臓病の診断・治療の領域で「血流」の研究が進んでいます。 心臓は効率よく全身に血液を送り出すために、心臓内でさまざまな回転する流れ=渦血流を発生させていることがわかっています。心臓になんらかのトラブルがあるとこの血流の...
-
若い女性の心臓病は遺伝的な冠危険因子がリスクを上昇させる
心臓病は、男性と女性で発症数や症状に差が表れる病気だといわれています。年齢によるホルモンバランスの変化、日常における生活習慣の違いなどが関係していると考えられています。 今年5月にも、米国心臓病学会が発行する国際学術誌「Jo...
-
「ジェネリック」の急拡大が思わぬ健康被害につながる危険
このところ、全国の医療機関や薬局で深刻な医薬品不足が続いています。咳止め薬、糖尿病治療薬、止血剤、抗うつ薬など、さまざまな薬が入手困難になっていて、処方を断られたという患者さんも少なくないはずです。 こうした医薬品不足の大き...
-
肝臓と心臓の関係…脂肪肝は心臓疾患リスクをアップさせる
近年、飲酒が関係しない脂肪肝「非アルコール性脂肪性肝疾患」(NAFLD)が問題になっています。脂肪肝というのは、肝臓の細胞の5%以上に中性脂肪がたまった病態のことで、飲酒を原因とする「アルコール性脂肪肝」と、飲酒を原因としない「非ア...
-
突然死の重大なサイン…危険な「痛み」を見逃してはいけない
「心筋梗塞を発症して治療を受けてから1年後、痛みがある人は死亡リスクが上昇する」という海外の研究について、前回お話ししました。この研究の成果はともかく、そもそも「痛み」というのは心臓病、とりわけ狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患にお...
-
4人に1人が該当する心臓の穴「卵円孔」は脳梗塞の原因に…再発予防にチェックすること
脳梗塞の原因となりうる心臓の穴、「卵円孔」をご存じか? 4人に1人に見られるという。卵円孔は、心臓の右心房と左心房の間の小さな隙間のこと。東邦大学医療センター大橋病院循環器内科准教授の原英彦医師が言う。 「卵円孔は胎児の時にで...
-
心筋梗塞の発症後に「痛み」があると死亡リスク増…海外調査を考える
心筋梗塞を発症してから1年後、胸痛を含む「痛み」がある人は死亡リスクが上昇する──。今年8月、米国心臓協会雑誌でこんな研究結果が報告されました。 スウェーデンの心疾患データベースで、2004年から13年の間に心筋梗塞を起こし...
-
閉塞性肥大型心筋症の新薬は従来治療の問題をまとめて解決する可能性がある
前回、「閉塞性肥大型心筋症」の治療についてお話ししました。全身に血液を送り出している左心室の出口にある心室中隔の筋肉が異常に厚くなり、左心室から血液を送り出す流出路が狭くなってしまう病気です。重症化すると「失神」「心不全」「突然死」...
-
「閉塞性肥大型心筋症」の手術は合併症に対する注意が欠かせない
「閉塞性肥大型心筋症」という心臓病があります。大動脈とつながり全身に血液を送り出している左心室の出口にある、右心室との隔壁になっている心室中隔の筋肉が異常なほど厚くなり、左心室から血液を送り出す流出路が狭くなって血圧低下を来す病気です...
-
「尿」は心臓病の診断・治療の大切なバロメーターになる
健康診断や医療機関での診察で、ほとんどの人は「尿検査」を受けた経験があるのではないでしょうか。尿検査は体への負担が少なく、いちばん手軽な検査といえるかもしれませんが、「病気を発見する入り口」としてじつにさまざまな事柄がわかります。 ...
-
「旅行」は健康寿命を延ばし、心臓の健康維持にも役立つ
コロナ禍がひとまず落ち着いたことで、今年の夏は久しぶりに旅行に出かけたという人も多いのではないでしょうか。近年、「旅行はさまざまな健康効果をもたらす」という研究結果がいくつも発表されていて、心臓の健康維持にとっても大きなプラスになり...
-
“やらなくてもいい”心臓手術を行う医療機関が増えている
心臓手術で使用される人工血管や人工弁といった人工物はできる限り正常な状態の生体組織に設置することが重要だと、前回お話ししました。明らかに病変が残っているような異常な組織に人工物を縫い付けてしまうと、その場では問題がなくても、後になっ...
-
大動脈の手術では予定になかった処置を実施するケースがある
以前、大動脈弁狭窄症の手術を行っている最中、上行大動脈の中にあるプラークと、その下にできた血腫を見つけ、それらを取り除く処置を行ったケースをお話ししました。そのまま放置していたら、いずれ大動脈解離を起こして突然死するリスクがあるため...
-
退職した中高年は心臓病リスクが低くなる…考えられる理由
退職して働くのをやめた中高年は、心臓病のリスクが低い--。今年5月、そんな研究結果が報告されています。 京都大学などの研究グループが、日本をはじめ米国や中国など35カ国の中高年(50~70歳)約10万人を対象に平均6.7年間...
-
少量の飲酒習慣は心臓病の予防効果あり 米国心臓病学会誌で報告
適度な飲酒は健康に良い、というような意見が、以前は専門家からもよく聞かれました。しかし最近の研究では、少量であっても飲酒の習慣には健康面のリスクがある、という見解が一般的になっています。 しかし、狭心症などの心臓病についてみ...
-
「孤独」が心臓病のリスクをアップさせるのはどうしてなのか
「孤独」は心臓病の発症リスクを大きく上昇させる──。以前から複数の研究で明らかになっている結果が、今年6月、米国であらためて報告されました。 米厚生省が提出した「私たちの流行病:孤独の蔓延と孤立」という報告書によると、孤独=社...
-
【心電図検査】計測時間が短く不整脈が見つけづらい
心臓の異常を調べる検査で、主に「不整脈」と「虚血性心疾患(狭心症など)」のスクリーニングに用いられています。 心臓には洞結節と呼ばれる部位があり、そこから電流が発生して、統率のとれた拍動を繰り返すのです。この電流を測定し、波...
-
心臓手術でも脳を冷やして温度を下げてから実施するケースがある
「脳の温度」を意識することは健康維持に大いに役立つ可能性があると前回お話ししました。通常、われわれが日常生活の中で経験する脳の温度は、35~39度台くらいでしょう。その範囲内で、温度が高くなったら冷やし、低くなったら温めて“適温”を維...
-
猛暑の健康管理は「脳の温度」を意識して冷やしたい
今年の夏も猛暑が続いています。熱中症への対策はもちろん大切ですが、それとともに健康管理に大いに役立つのではないかと注目しているのが、「脳の温度=深部体温」です。意識して脳にとっての“適温”を維持してあげれば、心臓を守ることにつながる...
-
心臓を守るために「乳製品」の摂取は効果的なのか
乳製品の摂取は心臓病のリスクを低下させる──。今年3月にそんな研究データが報告されました。 国立がん研究センターが実施している多目的コホート研究で、岩手、秋田、長野、沖縄、東京、茨城、新潟、高知、長崎、大阪に在住していた45...
-
心臓病のリスク因子「プラーク」は手術中に取り除く場合もある
以前、「ナノボット」と呼ばれるナノメートル(10億分の1メートル)サイズのロボットを患者の体内に注入し、血管内の「プラーク(粥腫)」を取り除く治療法の開発が進んでいる話題についてお話ししました。今回は、そのプラークについて詳しく取り...
-
新しい心筋症「TGCV」は診断技術の進歩により明らかになった
「中性脂肪蓄積心筋血管症(TGCV)」という心臓疾患があります。体内の余分な中性脂肪が心臓の筋肉(心筋)や冠動脈の細胞内にたまり、心臓肥大や動脈硬化を招いて重症の心不全や狭心症、心筋症、不整脈などを起こします。2008年に日本で報告さ...
-
「幸福度」の高さが心臓病による死亡率に影響を与える?
医療や福祉サービスが充実しており、安全で清潔な環境で生活する人々は、そうでない環境で生活する人々と比べて、幸福を感じる度合いが高いといえます。また、幸福度が高い社会では、日常生活におけるストレスが減り、そこで暮らす人々の健康状態も良...
-
「必要ない医療」で患者に介入する医療機関が増えている
心臓手術を受けた後は計画的なリハビリが重要で、心機能の低下がない場合は「安静」よりも「適度な運動」がより良好な回復につながる。前回お話しした内容です。 現場でも実際にそうした方針がとられていますが、早期回復・早期リハビリだけ...
-
適量のお酒が心臓を守るのは本当なのか ストレス緩和が影響
適度な飲酒をしている人は心臓発作が大幅に少ない--。米国でそんな研究結果が報告されました。マサチューセッツ総合病院の研究グループが約5万3000人(年齢中央値60歳、女性60%)を3.4年にわたり追跡調査したところ、軽度/中度のアル...