著者のコラム一覧
天野篤順天堂大学医学部心臓血管外科教授

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

水際で患者の命を救う「救急隊」のレベルは確実に向上している

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 当連載では、これまで「救急救命」について何度も取り上げてきました。ある日突然、重大な病気や事故に見舞われたとき、患者さんの命を救う大きな役割を担っているのが救急隊員で、彼らなくして救急救命医療は成り立ちません。

 昨年10月、中国の首相を務めた李克強氏が心臓発作を起こして搬送先の病院で亡くなりました。68歳でした。宿泊していた高級ホテルのプールで泳いでいたときに発作を起こし、急性心筋梗塞で死去したと報じられています。

 このケースと同じように、ゴルフ仲間の夫人がテニスをプレーした後に気分が悪くなってそのまま帰宅したところ、いつもとは違う異変を察知した医師である夫がすぐに救急車を呼びました。夫は、自分がかつて勤務していた病院が自宅から1時間くらいのところにあるのでそこへの搬送を希望しました。しかし、夫人の心電図を測定した救急隊から、「急性心筋梗塞が強く疑われます。迅速な処置が必要なので、近くにある救急対応ができる病院へ搬送します」と、15分ほどで到着できる病院を勧められたそうです。結局その病院に搬送となり、すぐに緊急のカテーテル治療が行われて夫人は命を取り留めました。

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