心臓病
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不整脈に対する「重粒子線治療」の期待と課題
重粒子線で不整脈を治療する--。国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構で、そうした研究が進んでいるといいます。 重粒子線とは放射線の一種で、炭素イオンを光の速さの70%まで加速したものです。それを病巣に照射して病巣を破壊し...
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“冷凍アブレーション”も登場…心房細動の治療は進化を続けている
これまで何度もお話ししてきましたが、高齢化が進む日本では「心房細動」の患者さんが増えています。現在、日本の心房細動患者は80万人といわれ、2030年には100万人を突破するとみられています。 心房細動は、心臓の上部にある心房...
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カテーテル治療かバイパス手術か…慎重な選択が命を守る
心臓治療の“入り口”は、手術を行う心臓血管外科ではなく、循環器内科です。心臓トラブルが起こった場合、まずは循環器内科で検査や診断が行われてから治療がスタートするケースがほとんどです。 中でも近年、狭心症や心筋梗塞といった虚血...
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アトピー性皮膚炎がある人は心臓血管疾患のリスクがアップする
アトピー性皮膚炎は血栓症のリスクをアップさせる--。デンマークで行われた大規模調査の報告です。とりわけ、アトピー性皮膚炎がある65歳以上の高齢者や血栓症の既往がある人は、アトピー性皮膚炎ではない人に比べて静脈血栓塞栓症のリスクが10...
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年をとったら「抗凝固薬」のタイプと使い方に注意を払う
前回、高齢になったら効き方や副作用のリスクをあらためて注意すべき薬についてお話ししました。加齢によって腎臓などの臓器の機能が衰えると、薬の効き方が変わったり、副作用の危険がアップするケースがあるのです。中でも、このところ議論になって...
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ずっと飲んでいる薬でも高齢になったらチェックして注意する
漢方薬を長期間ずっと服用し続けている場合、高齢になったときに思わぬ副作用や弊害が現れるケースがある──。以前、そんなお話をしましたが、これは一般的な薬=西洋薬でも同様です。 若い頃からずっと飲み続けている薬がある場合、高齢に...
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心臓疾患の労災認定が増加中…職場で命を守るポイント
近年、「働き方改革」が大きな話題になっています。2013年ごろから過労死や過剰労働による職場での事故などが世界的な問題となり、国連が長時間労働や過労死の是正を求めたこともあって、日本でも働き方改革について盛んに議論されるようになりま...
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「突然死」の原因の7割占める心臓を守る…料理研究家・服部幸應さんは直前にラジオ収録
料理研究家・服部幸應さんの命を奪ったのは急性心不全だった。その後の報道から、あまりにも突然だったことが垣間見える。享年78。年齢的には何が起きても不思議はないが、服部さんのような突然死は50代から要注意だという。 ◇ ◇...
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急激な気圧の変化は心臓に大きな負担がかかる…季節の変わり目は危ない
暑かった夏がやっと終わったかと思えば、一気に秋が深まってきました。こうした季節の変わり目などにみられる急激な気候の変化は、心臓にとって大きな負担になります。 その大きな要因になるのが「気圧」です。気圧というのは、空気の重さに...
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「漢方薬」は高齢になってから深刻な弊害が生じる危険がある
一時期のようなブームは落ち着きましたが、日本では「漢方」が根強い人気を誇っています。天然由来である漢方薬は、西洋薬に比べて一般的に副作用が少ないとされていて、安心・安全なイメージがあることが大きな理由でしょう。 また、近年は...
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急増中の「梅毒」は心臓にどんなトラブルを引き起こすのか
ここ数年、「梅毒」の感染者が爆発的に増えています。NIID(国立感染症研究所)の報告によると、1990年代以降は患者数が年間1000人を下回っていましたが、2011年ごろから増加の一途をたどり、2023年には過去最多の1万4906人...
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先天性心疾患は大人になってから再手術が必要になるケースが多い
生まれつき心臓や血管に異常があって、その働きが障害される病気を「先天性心疾患」と呼びます。遺伝とはほとんど関係がなく、日本では年間約1万人の新生児が先天性心疾患を抱えて誕生しています。 先天性心疾患はたくさんの種類があり、比...
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医療安全をマスターしていない医師は医療を行ってはいけない
前回、心臓手術で発生するリスクがある「空気塞栓」についてお話ししました。手術の最中に心臓内に空気が入り込み、その空気が大量に血管内に侵入して脳の血管に詰まることで、脳梗塞や半身麻痺、意識障害などを引き起こすトラブルです。冠動脈に詰ま...
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ブームが続く「サウナ」で死にたくない…心臓死の報告も
ブームが続くサウナでの事故が増えている。やけどやケガだけでなく、心臓血管病や循環器障害を起こして死亡したケースもある。サウナで命を落とさないために心がけるポイントを、東邦大学名誉教授で循環器専門医の東丸貴信氏に聞いた。 消費...
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心臓に空気が入り込む「空気塞栓」は深刻なトラブルを招く
去る7月、兵庫県立こども病院が起こした「空気塞栓」の医療過誤について、患者と家族に謝罪しました。昨年5月、未就学(10歳未満)の男児に実施された心臓手術において、誤って心臓内に空気が入り込み、空気が移動して脳の血管に詰まったことで、...
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AIが進化すればするほど人間対人間の医療が見直されるだろう
前回、前々回と、「超聴診器」を利用した遠隔医療支援システムについて触れました。自宅にいる患者さんが、あおむけの状態で小型の機器を胸の上に置くと、心音や心雑音などが計測され、その生体データを基にしたAI診断のアドバイスが離れた場所にい...
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「心雑音」は心臓病の疑いをスクリーニングできる有効な指標
前回、患者さんが自宅で超聴診器を使って「心音」を計測し、心臓病の診断や管理に役立てるシステムを紹介しました。計測したデータは独自のアルゴリズムとデータ処理によって記録され、遠隔地に従事するかかりつけ医らの医療者に送られます。その生体...
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元の心臓より小さくなったので…スギちゃん先天性の心疾患「心房中隔欠損症」を振り返る
「心房中隔欠損症」は心臓の右心房と左心房を隔てる壁に穴がある先天性の心疾患です。僕の記憶では「手術をしなければ20歳までしか生きられない」って……あれ? 40歳だったかな? というわけで、僕の胸には縦にガッツリ開胸手術をした痕がありま...
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“超聴診器”で計測する「心音」は重要な判断材料になる
今年4月、AMI株式会社という医療系ベンチャー企業が、「超聴診器」を利用した遠隔医療支援システムを正式スタートしました。同社が開発した超聴診器は、正式には心疾患診断アシスト機能付遠隔医療対応聴診器と呼ばれるもので、パソコンのマウス2...
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てんかん患者の心臓手術は抗てんかん薬の管理が重要になる
心臓病は65歳以上の高齢者が圧倒的に多い病気です。厚労省が発表している2022年の人口動態統計によると、心疾患で亡くなった人は23万2879人で、そのうち65歳以上が21万7411人と約93%を占めています。ある意味、心臓病は高齢者...
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「頭痛」の裏に心臓トラブルが潜んでいるケースがある
頭がズキズキしたり、ズーンと重く圧迫感が続いたり……「頭痛」を経験したことがないという人はいないでしょう。片頭痛や緊張性頭痛など、日本人の4人に1人は慢性的な頭痛を抱えているといわれ、とても身近な症状といえます。 そのほとん...
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高血圧を指摘されたらすぐにでも薬で下げてしまうほうがいい
「薬を飲み始めたら、一生、飲み続けなきゃいけないんですよね?」 「薬を飲む前に、まずは食生活や運動習慣の改善から始めたいのですが……」 血圧が高くなってきて、降圧剤の服用が必要になった患者さんの多くが、こんなふうに口にし...
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心臓病がメンタルヘルスに悪影響を与えるケースがある
前回、メンタルヘルス疾患と心血管疾患は密接に関係しているとお話ししました。うつ病や統合失調症を抱えている人は、心血管疾患の発症や死亡のリスクがアップするという報告がたくさんあるのです。 それとは逆に、心血管疾患にかかるとメン...
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メンタルヘルス疾患と心臓病は密接に関係している
厚労省の調査によると、メンタルヘルス不調の悪化による精神疾患を抱える患者数は、2002年の258万4000人から、17年は419万3000人まで増えています。 また、経済協力開発機構(OECD)の「メンタルヘルスに関する国際...
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医師が簡単に患者の寿命を決めてしまってはいけない
慢性心不全の患者さんが急増する「心不全パンデミック」を乗り切るためには、「治療エビデンスのある薬の活用」と「生活習慣の改善」のバランスを考えることが大事だと前回お話ししました。QOL(生活の質)を優先したいのか、疾患リスク低減を優先...
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心筋梗塞後の心不全…命が助かってから別の病気を招くケースが増えた
近年、日本では「心不全」の患者さんが増えていて、中でも注意したいのは「心筋梗塞を起こした後の心不全」だと前回お話ししました。 カテーテル治療の進歩により、急性心筋梗塞を起こしたら、まず循環器内科でカテーテル治療が行われるケー...
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熱中症を防ぐにはまず「脳を冷やす」を意識する
「熱中症」に注意しなければならない季節を迎えました。熱中症とは、気温と湿度が高い環境で、体内の水分や塩分が失われたり、体温の調節機能が利かなくなることで体温が異常に上昇し、めまい、吐き気、頭痛、けいれん、意識消失といった症状が現れる病...
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心臓の健康にいいダイエットとはどのようなものなのか
これまで何度もお話ししてきたように、「肥満」は心臓にとって大敵です。多くの研究から、高コレステロール、高血糖、高血圧のリスクを高め、動脈硬化を促進して、心血管疾患を発症しやすくすることがわかっています。ですから、心臓を守るためにもダ...
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現役世代も65歳以下も「人間ドック」は有用…治療の信頼度も確保できる
前回、40~65歳くらいの世代が心臓を守るために受けておくべき検査についてお話ししました。その年代は生活習慣病による心臓や血管の問題が生じ始めるケースが増えてくるため、一度は造影剤を使わない単純CT検査を受けて、心臓と血管の状態を把...
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20~40歳は「血液検査」で生活習慣病の兆しを把握する
心臓を守り、突然死を防ぐために受けておくべき検査は、年代によって変わってくると前回お話ししました。今回は働き盛りの中高年世代について取り上げます。 まず、20歳代から40歳くらいまでは詳細な「血液検査」が重要です。突然死もあ...