著者のコラム一覧
天野篤順天堂大学医学部心臓血管外科教授

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

「チョコレート」が心臓と血管を守るのは本当なのか?

公開日: 更新日:

「チョコレート」には心臓や血管に有益な効果がある──。かねて広く知られているトピックです。チョコレートには、フラボノイドの一種であるカカオポリフェノール(カテキンやエピカテキンなど)が豊富に含まれています。カカオポリフェノールには、抗炎症作用や活性酸素の働きを抑える抗酸化作用があり、血管内皮機能を改善させたり、血液が固まりやすくなることを防ぐ働きがあると考えられているのです。

 これまで、世界中でさまざまな研究が行われています。米国のベイラー医科大学が、チョコレートの摂取量と心筋梗塞の発症頻度について解析したところ、1週間に1回、あるいは1カ月に3.5回よりも多い頻度でチョコレートを食べる人は、心筋梗塞の発症リスクが明らかに低いことがわかっています。

 また、米国ハーバード大学公衆衛生大学院の研究では、チョコレートは心房細動の予防に役立つ可能性があると報告しています。デンマークに住む50~64歳の約5万5000人を対象に13年以上にわたってチョコレートの摂取量を追跡調査したところ、1カ月当たり1~3サービング(約30~90グラム)のチョコレートを食べる人は、1カ月に1サービング未満しか食べない人に比べて、心房細動が起こるリスクが10%低かったといいます。

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